映画を見て人生豊かに 公民館で名作紹介 石垣さん愛好歴65年余


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喜々として映画の話をする石垣隆盛さん=琉球新報中部支社

 【北谷】映画の奥深さに魅せられ、地域の公民館で名画を紹介する活動を続ける男性がいる。映画愛好歴65年余りという北谷町宮城の石垣隆盛さん(69)だ。上映作品の中心は戦後初期の映画黄金期、石垣さんが少年・青年時代の1950年代の作品だ。「私たち団塊の世代が見ていた映画は、人間の生きざまや社会問題をよく描いていた」と石垣さん。「鑑賞して人生を豊かにしてほしい」と魅力を伝える。

 白黒映像に合わせ、昔懐かしい昭和歌謡のメロディーが公民館を包む。7月5日午後、町吉原の北玉公民館。岡晴夫のヒット曲を映画化した「憧れのハワイ航路」(50年)が上映され、70~80代を中心とした区民17人がスクリーンで鑑賞した。

 参加した仲地政順さん(73)は「小学生の時に見た作品で、懐かしかった。この時代の映画は人間が笑ったり、泣いたりして感情が豊か。最高だ」と満足げ。石垣さんは「鑑賞した後も映画談議で楽しんでほしい。若返りの効果もあるんじゃないか」と笑った。

映画「憧れのハワイ航路」を鑑賞する区民たち=7月5日、北谷町吉原の北玉公民館

 旧平良市で生まれ、3~4歳のころから近所の映画館に出入りするようになった石垣さん。その後、戦後の最盛期に10カ所以上の映画館が林立した沖縄市コザ十字路付近に家族で引っ越し、映画三昧の日々に拍車が掛かった。

 初めて上映会を開いたのは、約5年前の北前公民館。その時も美空ひばり主演の映画を流し、同世代の参加者から「本当に懐かしい」「若い頃の気持ちを取り戻した」など好評を得た。「少しでもそういう気持ちになる人がいるなら、続ける価値はある」と活動に自信が付き、その後も宇地原、北玉公民館などで不定期で開催している。

 「音楽やファッションの趣味、人間の生きざま、女性の口説き方までを映画から学んだ」と振り返る石垣さん。口癖は「映画は人生の百科事典」だ。今後の活動についても「自分の趣味を楽しんでもらえることは自分の励みにもなる。いろいろな映画を伝えていきたい」と意欲的に話した。