日米共同訓練、オスプレイ参加で調整 “二重基準”で「配慮」も


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 【東京】防衛省が、10日に北海道で始まった日米共同訓練に米軍普天間飛行場所属のオスプレイ6機を28日までの期間中に参加させる方向で米側と調整していることが分かった。同飛行場所属のオスプレイが5日にオーストラリア沖で墜落し、日本政府は飛行自粛を米側に求めていた。日米は北海道での訓練には一定の「配慮」をし、参加を遅らせるが、県内では、オスプレイの飛行が7日から毎日強行されており、“二重基準”との批判の声が上がっている。オスプレイが28日までの共同訓練に参加すれば、飛行強行への反発が県外でも広がりそうだ。

 普天間飛行場では10日も午前9時すぎにオスプレイ1機が飛び立ち、同15分ごろに帰還。また午後7時半に1機が離陸して市街地上空を飛行し、40分後に着陸した。8日には騒音規制措置(騒音防止協定)で制限されるはずの午後10時45分、2機が普天間飛行場に着陸し、市内で86・9デシベルの騒音を記録した。

 在日米海兵隊は9日、安全を確認し飛行を継続するとの声明を発表したが、事故原因などは明らかにしておらず、県内や北海道などでは安全性への懸念が高まっている。

 小野寺五典防衛相は10日の衆院安全保障委員会で北海道での訓練について「米側との調整が整うまでの間は、オスプレイは使用せず、予定通り訓練は実施する」と述べた。参院外交防衛委員会では、事故後、日米の騒音防止協定が制限する午後10時以降もオスプレイが飛行していることについても「米側が運用上必要と判断して行ったと認識している」と述べ、飛行を容認した。

 両委員会では、防衛相の飛行自粛要請後もオスプレイが毎日飛行していことに対し、飛行停止を求めるべきではないかとの指摘が相次いだ。これに対し小野寺防衛相は「米側から運用上、必要との説明を受けた」などと繰り返し、飛行強行を容認した。オーストラリアでのオスプレイの事故は「墜落か、単なる落下事故か、どちらの認識か」との質問には「しっかり事故原因を米軍に確認したい」と述べるにとどまり、判断を避けた。

 自衛隊のオスプレイ配備計画については「安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、陸上自衛隊の島嶼(とうしょ)防衛能力の強化を図るために不可欠の装備品」だとして、配備を進める考えを強調した。