オスプレイ、北海道訓練先延ばし 県幹部、沖縄との落差嘆く


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駐機する米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=10日、同飛行場

 10日、北海道大演習場を中心に始まった日米共同訓練にオスプレイの姿はなかった。オーストラリア沖での墜落事故を受け、当初予定されていた10日の開幕式からの参加は見送られ、訓練期間途中からと見込まれている。日本政府は、オスプレイの参加延期は自粛要請の成果だと強調するが、沖縄ではこの日もオスプレイが飛び続けた。北海道と沖縄。国内で飛行自粛をめぐり対応に差が出る“二重基準”が鮮明となっている。

 防衛省はオーストラリアでの事故を受け、飛行自粛要請と同時に、日米間で訓練での取り扱いについて調整してきた。防衛省関係者は「日本側の働き掛けで訓練初日、セレモニーは飛ばないことになった。調整がとれるまでは飛ばない」と米側との交渉で成果を得たと強調する。

 一方、沖縄では、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は「沖縄だけで飛んでいるわけではない。オスプレイは世界中で飛んでいる」と言い放ち、飛行停止への配慮はみじんも見せなかった。

 防衛省関係者は「沖縄だけでは(飛んでも)良いというわけではない。全国的に自粛するように言っている」と“二重基準”を否定する。しかし政府は、沖縄でオスプレイが飛行した際には「運用上必要だったということだ」と飛行を事後的に容認する”追従”姿勢を示し、北海道では事前協議をギリギリまで重ね、期間限定ながら「自粛」を勝ち取った。

 そもそも今回の共同訓練へのオスプレイの参加は、沖縄の基地負担軽減を目的としたもの。日米両政府は2016年9月、沖縄の負担軽減を目的に普天間飛行場所属機の県外・国外への訓練移転拡大に合意し、今回の訓練も同合意に基づき実施されるものだ。

 「じゃあ、沖縄でも飛ばないでよって言いたい」。北海道でのオスプレイ飛行が延期されたことを知った県幹部の一人は、対応の違いにがく然とした表情を浮かべた。

 合意当初は政府が大々的にアピールする“負担軽減策”。しかし内実は米側の「運用上必要」との言葉ひとつで防衛省が譲歩するものとなっている。(仲井間郁江、仲村良太)