【糸満】「わじゃ そーいびん(お仕事中です)」。糸満市武富のイオンタウン武富ショッピングセンター前の県道7号の道路工事現場で、うちなーぐちの看板が道行く人を楽しませている。発案者は、うちなーぐちを使う機会が減少していることに危機感を持った南山開発(本社・豊見城市)の取締役会長の浦崎実さん(60)だ。「言葉は使わなかったら忘れてしまう。まずは関心を持つきっかけになってほしい」と、2年ほど前から那覇市内や本島南部の工事現場でオリジナルのうちなーぐち看板を設置している。
八重瀬町出身で、幼少からうちなーぐちに親しんできた浦崎さん。近年は同級生の模合などでうちなーぐちを使うが、職場では使う機会が減ったという。
「言葉は時代によって変わっていくものだが、少しでもうちなーぐちを残したい」と、工事現場の看板をうちなーぐちで表記することを思い付いた。今では従業員にも積極的にうちなーぐちで話し掛けている。
「ゆたしく うにげーさびら(よろしくお願いします)」「にふぇー やいびーたん(ありがとうございました)」など、各現場に合わせて必要な文言をうちなーぐちで考え、発注する。
意味が分かりやすいよう、日本語表記の看板と併設するようにしている。看板はリースで、工事が終わると返却するため、これまで何枚作成したか不明という。
浦崎さんは「南部でも地域で言葉が異なり、虫一つでも呼び方が違う。言葉はとても面白い。うちなーぐちをぜひ普及させたい」と力を込める。
県道7号のイオンタウン武富ショッピングセンター前の工事は、今年10月末までの予定だ。
「見学料は取りません。いちゃんだ(無料)ですよ」と、浦崎さんは少年のように笑った。
(豊浜由紀子)
<イチオシポイント>継承へのアイデア 感心/糸満センター販売店主の國吉真信さん
移動中、道路工事現場でうちなーぐちの面白い看板を見つけた。騒音被害などのために軟らかい雰囲気を出すためかと思ったが、現場代理人に話を聞くと「会長のアイデアで、若者が方言を使えない人が多いから設置している」と知り、ぜひ紹介したいと思った。