那覇西、水球インハイ初挑戦 精鋭ぞろい、新たな歴史へ


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九州大会に続き、全国舞台でも活躍を目指す那覇西水球部の選手たち=那覇商業高校(具志堅千恵子撮影)

 17日から宮城県で開幕する全国高校総体水球競技で創部7年目の那覇西が初出場する。強豪が集う九州総体で準優勝し全国切符を勝ち取った。2016年の九州総体は準決勝、3位決定戦ともペナルティースローで敗れ全国を逃した。内容よりも貪欲に勝利にこだわり、手にした今回の大舞台。沖縄県勢初の全国総体制覇へ、選手らの挑戦が始まる。

■県外でも実力実証

 16年秋の新チーム結成以来、9月の新人大会、ことし6月の末弘杯といずれも九州を初制覇した。勢いに乗る形で7月の九州総体では準優勝。続いて行われた国体九州予選でも那覇西が軸となる沖縄少年選抜が準優勝し、8年ぶりに本大会出場を決めた。

 チームは中学時代に沖縄フリッパーズで全国ジュニアオリンピック準優勝に輝いた2年が主力だ。砂邊利貴と仲本駿之介は1年時にユースU15研修派遣対象に選ばれた。第9回(16年度)全日本ユースU15選手権大会では那覇西高主体の沖縄選抜で入賞を果たした。GKの伊波盛一朗は同大会ゴールセーブ率1位の69・4%をマークして優秀選手賞を獲得した。いずれも県勢初で、県外での実力は実証済みだ。

■主力の2年生

 162センチ、60キロの砂邊は瞬発力があり、攻撃の軸としてゲームメークする。16年度の九州優秀選手にも選ばれたほか、6月の末弘杯(九州)で優秀選手賞を受け、この秋にウズベキスタンで開幕するアジアエージ選手権の日本代表メンバーにも選出された。末弘杯前に仲本が右肩を脱臼し、ポジションが右から左に変わった。当初はシュートが決まらずに焦りもあったが、練習を重ね、ゲームで威力を発揮するまでになった。「先制点を取ることを重視し、リードを広げたい。苦しい時に1点を決め、プレーで雰囲気を盛り上げたい」と力を込める。

 仲本が万全でない中、1年の弟・虎次郎が砂邊と共に得点源として活躍している。159センチ、52キロと小柄ながらシュートセンスは抜群。チーム唯一の左利きとして相手GKを翻弄(ほんろう)し、得点を量産する。「スタメンに入っていない先輩の思いもくみ取り、点を取って楽な試合運びにしたい」と意気込む。

 170センチ、60キロの伊波は全国ナンバーワンの守護神に選ばれた重圧を飛躍の力に変えた。冬の間、7・5キロの重りを抱えて両足を回転させる巻き足の練習を繰り返したことで浮力が増した。横移動の練習も奏功。下半身が強化されライナーパスからのシュートなどへも素早く反応できるようになった。

■普段のプレー意識

 175センチ、85キロの3年玉川貴涼主将は攻守の要だが、16年11月に授業中のけがで右足のくるぶしを手術。復帰までに約3カ月、もどかしさもあった。けがの間送迎してくれた両親への「インターハイ(全国総体の切符)を取って恩返ししたい」という思いを原動力に、急ピッチで体を仕上げ「元に戻した」。主将不在の責任感から急成長を遂げた副主将の3年宮城槙哉も頼もしい存在だ。

 全国総体に向け永井敦監督は「1回戦(対鳥取中央育英)がヤマ場だ。県勢最高の8強を塗り替えてほしいが、硬くなると普段通りのことができなくなる。伸び伸びとプレーしてほしい」と背中を押す。最初で最後の全国総体となる玉川は「試合中に声を掛け合い、悔いのないよう全力を出し切りたい。個人技なども生かし勝ち抜きたい」と勝利へ執念を見せる。新たな歴史の一ページへチーム一丸で臨む。(崎原有希)