【金武】原寸大で復元された日本軍の特攻艇「震洋」が9日、NPO法人沖縄鍾乳洞協会理事長の山内平三郎さん(69)=八重瀬町=から金武町教育委員会に寄贈された。23日まで町立中央公民館で開かれている特別展で、解説のパネルと共に展示される。
金武町には戦時中、金武と屋嘉の2カ所に「震洋」の部隊が駐屯。昨年、特攻艇を復元した山内さんが、町側に寄贈することになった。町は今後、平和学習に活用する予定だ。
特攻艇は日本海軍が戦局の挽回を狙い、1944年に開発した。ベニヤ板で作られ、船首には約250キロの爆薬を搭載する場所がある。
爆薬を積むと船首が重くなり「前が沈んで進まなかった」との証言がある。
特別展「特攻兵器『震洋』展」の開幕式であいさつした山内さんは「作る時に思ったのは『これで本当に戦争をしようと思ったのか』ということ。愚かなことだ」と語った。さらに、沖縄戦の特攻艇に関する記録がほとんどないことを説明し「今後の調査に役立ててほしい」と要望した。
比嘉貴一町教育長は寄贈を受け「人の命を粗末に扱う戦争の愚かさを感じる。平和学習に役立てていきたい」と述べた。
特別展の後も同公民館で保管し、公開する予定。