養殖モズク 生産者共有、安定供給へ


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 沖縄県や県漁連などは、養殖モズクの漁場環境や海洋気象データ、各地の生産情報などを一元管理し、生産者間で共有するシステムの開発に向けた検討を進めている。全国の9割のシェアを占める沖縄産モズクだが、近年は海水温上昇といった気候変動の影響を受けて不作となることもあり、漁協ごとに取り組んでいる生産情報を全県的に共有することで、モズク産地として安定的に供給できる体制を整備する。

 情報共有システムの構想は、県内漁場の地形や気象をはじめ、海域の水温や塩分、流速といった環境モニタリング、生産者による現場情報などを収集・蓄積する。関係者で利用できるように運用することで、海上養殖の安定につなげる。

 情報共有システムの開発と合わせ、生産量の増大を図るための新たな養殖漁場の確保も進める。沿岸漁場を調査し、適地となる候補地を選定していく。

 17日に開かれた県もずく養殖業振興協議会の定期総会で「養殖モズク安定供給支援事業(仮)」として検討状況が事務局から説明された。

 県漁連の亀谷幸夫漁政課長は「生産者の声をデータベース化し、漁場の調査や気象データとも組み合わせたシステムとして構築し、現場に還元していく仕組みをつくる」と語った。

 現在、実務者によるワーキングチームで事業内容を議論しており、情報を集積・管理する主体の検討など実現に向けた調整を進め、早ければ2019年度から情報共有システムの開発に着手することを見据えている。

 県内のモズク養殖は17漁協が取り組んでおり、7月までの漁期だった17年度産の生産量は計1万8072トンだった。前期を3382トン上回ったものの、目標としていた2万1千トンには届かなかった。

 亀谷課長は「現状では養殖現場の間で情報が共有されていない。近年は今までにない気候や環境の変化にも直面しており、10年先の沖縄のモズク生産を展望しながら、各種の情報をマッチングしていく必要がある」と述べた。