撃沈から73年 非戦と継承を誓う 対馬丸慰霊祭 


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
焼香する対馬丸の生存者や遺族、関係者ら=22日午後0時13分、那覇市の小桜の塔前

 疎開学童や一般疎開者を乗せた「対馬丸」が米潜水艦の魚雷攻撃を受け撃沈されて73年となった22日、対馬丸慰霊祭(対馬丸記念会主催)が那覇市若狭の小桜の塔で執り行われた。生存者や遺族ら約400人が参列した。1482人の犠牲者を追悼し、戦争を繰り返さないと誓った。

 慰霊祭で対馬丸記念会の高良政勝理事長が「この瞬間にも世界の至る所で戦争が絶えず、多くの人命が失われている。私たちは戦争の歴史だけは決して繰り返してはいけない。戦争を知らない世代が全人口の8割を超えると言われる今こそ戦争の実像を伝えなければならない」と追悼の言葉を述べた。

 那覇市内の小学生を中心にした「つしま丸児童合唱団」が「小桜の塔のうた」などを歌った。また、歌と歌の間には、合唱団結成時から参加し、ことしの「児童・生徒の平和メッセージ」の小学校高学年の詩部門で最優秀賞となった上原一路さん=糸満南小6年=の詩、「今は平和といえますか?」を群読。子どもたちは「世界が平和で包まれるように」などと声をそろえた。
 
 子どもたちや遺族、関係者がオオゴマダラを空に放ち、恒久平和を願った。

 対馬丸は1944年8月21日、那覇港から出港。翌22日午後10時12分、米潜水艦の魚雷攻撃を受け、同23分に撃沈された。疎開学童784人を含む1482人(氏名判明分)が犠牲になった。【琉球新報電子版】