沖縄県系経営者 ハワイで躍動 WUB大会参加者が視察


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 米ハワイで2日に開かれるWUB(ワールドワイド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)第21回世界大会を前に、沖縄県内からの参加者らは県系人が経営する企業を視察した。ビールやチョコレート、外食産業など各分野で成長を続ける県系経営者を紹介する。

 アロハビール 市場シェア3位 ソンブレロ氏、世界見据え

 不動産事業を手掛けるWUB(ワールドワイド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)のスティーブ・喜舎場・ソンブレロ会長は、米ハワイ州で愛される地ビール「Aloha Beer(アロハビール)」を製造・販売する。2010年に立ち上げたアロハビール・カンパニーは、現在ハワイのビール市場で3位のシェアを占めている。日本やグアム、欧州などにも流通しており、今後世界への事業展開を目指す。

ハワイで愛される地ビール「アロハビール」を製造・販売するスティーブ・喜舎場・ソンブレロ氏(右)と妻の孝子さん=8月30日、ホノルル市

 ソンブレロ氏によると、これまでハワイでは人気の地ビール「Primo Beer(プリモビール)」が生産されていたが、1990年代に米本土の企業に買収され、製造工場も米本土に移転した。米本土から逆輸入されたプリモビールは、次第に人気がなくなったという。

 93年にハワイ大学経営修士課程(MBA)でハワイでのビールビジネスについて論文を執筆したソンブレロ氏は、ビジネスの成功に名付けが最も重要な要因だと結論を付けた。
 それを機に94年にハワイのビールを代表できる「アロハビール」を商標登録した。同社では現在、蜂蜜やレモングラス、海水などハワイの原材料を活用した13種類のビールを販売している。年間約378万ミリリットルを製造し、売り上げは約3億~5億円に上る。

 ソンブレロ氏は「ハワイを代表する地ビールを造りたくてアロハビールが生まれた。今後ハワイから世界へ流通させていきたい」と意気込みを語った。

 地元に愛され50年 ジッピーズ ヒガ兄弟創業ファミレス

毎日数万人が訪れる県系人が創業したファミリーレストラン「Zippy’s(ジッピーズ)」

 名護市系2世のフランシスとチャールズ・ヒガ兄弟が1966年に米ハワイで創業したファミリーレストラン「ジッピーズ(Zippy’s)」は2016年に創業50周年を迎えた。現在ハワイで24店舗を展開しており、地元に親しまれる大手飲食チェーンとなった。沖縄や中国、韓国など多国籍料理をメニューに取り入れる。現在、毎日数万人が利用しており、ハワイ飲食チェーンシェアの上位5位に入る。

 ジッピーズ創設当初、従業員は約60人だったが、現在約38倍の2300人に増えた。ハワイ・オアフ島のマッカリー地区で1号店がスタートし、現在マウイ島とハワイ島に出店する。

 ジッピーズを運営するFCH(ジェイソン・ヒガ最高経営責任者=CEO)は同レストランのほか、パン屋やケータリング事業なども手掛けている。

 手作りチョコいかが メネフネマック アラガキ氏、こだわり強く

手作りにこだわるチョコレート「メネフネマック」をPRする県系3世のニール・アラガキ氏=8月31日、ホノルル市

 ナッツをチョコレートでコーティングしたハワイの代表的な土産の一つ「マカダミアナッツ」。県系3世のニール・アラガキ氏はホノルルのカリヒで手作りのチョコレート工場「メネフネマック(Menehune Mac)」を経営している。同工場の規模は、米国の手作りチョコレート工場の中でトップクラスを占めるという。特注のチョコレート商品なども製造するため、商品は300種を超える。観光客だけではなく、地元住民にも人気がある。

 「メネフネ」とはハワイに伝わる神話の妖精で「マック」はチョコレート作りの名人を目指す妖精のリーダーという設定だ。工場は1939年に設立され、73年ごろアラガキ氏の父が取得した。メネフネマックのチョコレートは手作りにこだわり、機械で作るチョコレートと比べ品質が高く、甘過ぎないという。年間100万キロ以上を生産している。アラガキ社長は「チョコは非常にデリケートな菓子だ。これからも手作りチョコにこだわっていきたい」と話した。