「案内板やHP、多言語に」香港の学生が観光提言 読谷で就業体験


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 【読谷】香港理工大学の学生7人が8月21日から31日まで読谷村内の企業でインターンシップ(就業体験)生として働いた。学生の受け入れは読谷村観光協会のインバウンド受け入れ強化事業の一環で、今回が初めて。最終日の31日に学生は成果を報告し、外国人の視点から観光客誘致策を提言した。

外国人観光客にアンケートを実施するインターン生の林暁晴さん(中央)、温朗〓さん(左)=8月22日、読谷村の残波岬

 学生からは「店内のポップ(宣伝文句)の言葉がおかしい部分があり改善した。もっと良い施設にできる」「店内だけでなくホームページから多言語化したら、もっと海外から観光客が来る」などの提言があった。村観光協会の澤岻カズ子会長は「私たちも学ぶことがとても多かった」と感謝した。

 沖縄ハム総合食品、読谷ククルリゾート沖縄、沖縄スカイ観光サービス、Gala青い海、比嘉酒造、御菓子御殿、読谷村観光協会が学生を受け入れた。

 村観光協会で就業体験した林暁晴さん(21)は中華圏の観光客に村内観光地で声を掛け、アンケート調査を実施した。その結果、読谷への外国人観光客は香港と台湾が多いことが分かった。一方で、読谷村のことを知って来る人は少なかった。林さんは「読谷村が自然も文化も豊かで美しい村だと分かった。もっと世間に知ってもらわないと、もったいない」と話した。

 Gala青い海で働いた何翊謙さん(22)は英語表記だけだった案内板の広東語版を作成し、既存の間違った表現の看板を直した。同社総支配人の玉城靖執行役員は、働きぶりを見て「広東語、台湾語ができる人がいれば、今働いているスタッフもお客さまに何か聞かれても大丈夫だと安心できた」と受け入れ側の意義を語った。

 温朗〓さん(22)は御菓子御殿の店舗で働き、試食コーナーなどを担当し「日本のおもてなしの精神を学べた」と成果を述べた。店舗については、店内に外国語のポップがあり、受け入れ態勢はできているが「ホームページに翻訳がない。外国人観光客が沖縄に来る前に事前に調べることができたらいい」と指摘した。その上で「読谷村のホームページもきれいなのに、日本語が読めなければアクセスできない」と多言語化の必要性を訴えた。

 香港で就職予定という温さんは「翻訳の仕事を通して恩返しをしたい。香港でPRの仕事や翻訳の仕事があれば、ぜひ手伝わせていただきたい」と継続的な関わりにも意欲を示した。

 村観光協会の比嘉等事務局長は「初めての試みだったが、受け入れ側にもメリットが大きい。今後は村内企業への就職も見越して受け入れ事業ができたらいい」と展望を語った。

※注:〓は女ヘンに「尼」

修了証を受け取るインターン生と受け入れ企業の関係者=8月31日、読谷村地域振興センター