辺野古新基地阻止 現状訴え「道開ける」 工事影響知るシンポ


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登壇者の発言に賛同し、大きな拍手を送る来場者ら=3日、那覇市のパレット市民劇場

 辺野古新基地建設が周辺環境や世界自然遺産登録の評価に与える影響について考察するシンポジウムが3日、那覇市のパレット市民劇場であった。9・3シンポジウム実行委員会主催。パネリストとして登壇したジュゴン保護キャンペーンセンター国際担当の吉川秀樹さんは、米ジュゴン訴訟で判決の基準となった米国家歴史保存法(NHPA)は国の天然記念物ノグチゲラにも適用できると指摘。「新たな訴訟をしなくても米歴史保存諮問委員会に現状を訴えれば、道が開ける可能性はある」と期待を寄せた。

 歴史保存諮問委員会は米国の独立政府機関で、歴史的・文化的な遺産を保護するNHPAを管轄し、政府機関に助言を行う役割を担う。

 吉川さんは「言語の壁などもあるが、市民が沖縄の現状を国外のしかるべき機関に発信する方法は効果的だ」と述べ、米軍活動がやんばる地域の環境に与える悪影響を黙認し、遺産登録の申請を進める政府は当てにならないとして、市民自らが行動を起こす必要性を説いた。

 沖縄大名誉教授の桜井国俊さんは先月の訪米時に、米国の日系歴史家と辺野古新基地建設について意見交換したことを披露。遺骨収集が完全に終わっていない米軍キャンプ・シュワブ内の大浦崎収容所埋葬地で戦争をするための基地を造ることは、NHPA違反に当たる可能性があるとの助言を受けたことを報告した。「知恵を絞れば尽くせる手はある。あらゆる手段を講じ、辺野古新基地建設を阻止しよう」と会場に訴えた。

 シンポジウムでは稲嶺進名護市長があいさつしたほか、ジュゴン訴訟の原告でもある東恩納琢磨名護市議による特別報告や、海勢頭豊さんのコンサートもあった。

英文へ→Panelists stress importance of appealing to agencies outside the country on new base construction in Henoko