山城議長裁判 国連報告、証拠と認めず 那覇地裁、「集会」指針も


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 名護市辺野古の新基地建設の抗議活動について、威力業務妨害の罪に問われている沖縄平和運動センター山城博治議長の刑事裁判で、那覇地裁(柴田寿宏裁判長)は4日、山城議長の長期勾留などを批判した国連特別報告者のデービッド・ケイ氏の報告書や、国連人権理事会が市民の抗議行動で許容される基準を定めたガイドライン(指針)など、弁護側の証拠請求を一部却下した。

 国連のガイドラインは、長期的な座り込みや場所の占拠を「集会」と位置付け許容するよう提言しており、東村高江のヘリパッド建設や辺野古の新基地建設に伴う政府の警備活動は、ガイドラインに反した手法になっている。弁護側は抗議活動が集会結社の自由に当たることや刑事罰が表現の自由の萎縮につながることを立証しようと証拠請求した。

 一方、那覇地裁は憲法学が専門の高作正博関西大学教授の意見書は採用した上で、証人尋問としての請求は認めなかった。

 弁護側は「求めた証拠は国際的な集会結社の自由に関する考え方。日本の司法手続きへの批判について裁判所は見ることなく判決する姿勢で、憤りしかない」と批判した。

 ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「(裁判所は)微罪でも政治的な判断で長期勾留を認めた。その批判を証拠としてしまうと、過ちを認めたことになるため証拠に採用されないのだろう。司法の反動化が進んでいる」と述べた。

 辺野古漁港横のテントで座り込みをしているカメラマンの山本英夫さん(66)は「日本の裁判所が世界のスタンダードを否定した」と憤った。

 起訴状によると、山城議長は2016年1月28日から30日までの間、別の男性と共謀して名護市辺野古のキャンプ・シュワブ工事用ゲート前で複数回にわたりコンクリート製ブロック合計約1486個を積み上げるなどして、ゲート敷地内への資材搬入を困難にし沖縄防衛局の業務を妨害したとされる。