沖縄の現状、思い熱く訴え 石川真生さん写真展始まる


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
自身が撮影した写真について解説する石川真生さん=5日、那覇市の那覇市民ギャラリー

 写真家・石川真生さんの写真展「大琉球写真絵巻パート1~4」が5日、那覇市久茂地の那覇市民ギャラリーで始まった。同日、ギャラリートークが行われ、石川さんは展示されている写真を解説し、「今、ネットでは『基地反対運動はよそ者が多い』など誹謗(ひぼう)中傷があるが、沖縄の人々は生活の中で訴えている。それを沖縄の人がちゃんと示さないといけないと思った」などと熱く語った。

 「大琉球写真絵巻」は、石川さんが辺野古新基地建設を推し進める政府に怒りを抱いたことをきっかけに、2013年から撮影を始めた。沖縄の歴史的場面を友人、知人らが演じ、それらの場面を一連の写真として展示する企画だ。

 展示4年目の今年、23点が新たに加わった。昨年までと異なるのは、日常生活の中で人々が感じる思いを写したり、表現したりした作品が多いことだ。「みんな普通の人。過激でも何でもない」。キャンプシュワブのゲート前で辺野古反対を訴える若い女性の写真の隣には、家で家事をする夫や子どもたちの日常風景を写した写真を展示した。石川さんは「みんな、ゲート前の運動しか撮影しないが、私はそれを支える家族も撮りたかった」と観客に語った。家族そろって正月料理を食べるテーブルの周りを、機動隊員に扮(ふん)した男たちが囲む写真については「いくら暴力を使っても僕たちから笑顔や愛を奪えない」という思いを形にした。

 石川さんは「パート4」の撮影途中でがんが見つかり、病を押して撮影に臨んだ。手術を終え、経過は良好で、今後、パート5も考えている。

 展示は10日までで、午前10時~午後7時(最終日のみ午後4時まで)。入場無料。石川さんは毎日会場にいる予定。