それ、救急車必要?タクシー代ない、指を数ミリ切った…


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 琉球新報社が実施した県内18消防本部へのアンケート調査で、ほとんどの消防が救急車の適正利用を求める声で一致した。事例を聞いたところ、「タクシー代がなかった」「ピーラーで指先を数ミリ切った」など、明らかに不適切な出動要請を受けたケースが相次いで上がった。一方、各消防の抱える課題は、地域によって違いも出たほか、高齢者や老人介護施設などからの搬送など高齢化に伴う救急出動件数の増加に懸念を示す意見もあった。

 観光客数の多い本部半島を管轄する本部町今帰仁村消防組合は「観光客からの要請が増加している。その中でも外国人からの要請も多く、その対応に苦慮している」と課題を挙げた。同消防は通信指令システムに多言語通話サービスを取り入れるなどの対応をしているという。

 高齢者への対応を課題として示した消防もあった。久米島町消防は「65歳以上の搬送車数が全体の6割を超えている」、島尻消防は「高齢者施設からの搬送の増加」として、高齢化が大きな課題となっていることを挙げた。

 名護市消防は、救命救急センターが中南部にしかないために、民間病院からの転院搬送も多い。救急出動件数に占める転院搬送の割合が県、全国が8%台に対して、同消防は11%台に上っているという。

 同消防は「救急隊員の負担が大きく、体力的、精神的にも疲弊を起こさないか懸念される」と実情を明かした。

 金武地区消防は「近くに総合病院のない地理的な要因」などを課題に挙げた。

 沖縄市消防は沖縄が今後も人口増加が見込まれることから、行政や医療機関、消防などの連携の必要性を指摘。「医療圏ごとの地域医療体制の構築」を提言した。