沖縄県立博物館・美術館で開催されている「ウィルソンが見た沖縄」展(主催・同館、沖縄美ら島財団、共催・琉球新報社)に関連して、米国でウィルソンの写真を発掘した作家の古居智子さんが9日、同館講堂で、文化講座「ウィルソンの沖縄―100年の記憶の旅路」と題して講演した。
古居さんは、重い機材を担いで山野を巡る理由を問われたウィルソンが「もし写真や標本で記録を残さなかったら、100年後に多くは完全に消えてしまうだろう」と述べたことを紹介。「100年後が今。この変化を比較することがこれからの100年を考えるきっかけになる」と展示会の意義を強調した。
宜野湾街道の写真について「ウィルソンは美しいから撮ったのだが、その歴史の道、生活の道が普天間飛行場になってしまった」と指摘。「沖縄の100年を考えるシンボリックな写真だ」と話した。ウィルソンは沖縄のその後の運命を知ることなく、1930年に事故で亡くなった。古居さんはウィルソンの反戦と自然保護の思想も紹介した。
会場には200人以上が詰め掛け、スクリーンに映し出された100年前と現在の沖縄の変化に見入った。同展は10月15日まで。