琉球人遺骨、京大が保管認める 目録は作成せず


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 1928~29年に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から持ち出された琉球人の遺骨について、京都大学は15日、同大学総合博物館の収蔵室で保管していることを認めた。同大学が人骨標本としての目録を作成しておらず、遺骨を使った論文などの研究成果も把握していないことも分かった。アイヌ民族遺骨問題の際に同大がワーキングチームを設立して調査したことに関して「(琉球人遺骨の調査は)現時点では予定していない」とした。一方で文科省は、京大に保管されていること自体を「把握していなかった」としている。照屋寛徳衆院議員の国政調査権に基づく照会に答えた。照屋氏は遺骨の返還を京都大に求める考えだ。

 京都大は遺骨の保管状況を「プラスチック製の直方体の箱に収納している」「温湿度を一定に保ち、学術研究に支障のないよう、適切に保管している」と説明。研究成果(論文などのリスト)の有無は「本学の研究者および学生の学術論文等を網羅的に把握することはしておらず、リストなどはない」とした。

 目録は「作成していない」と答えた上で「総合博物館は本学の研究者が個別に収集し、研究室単位で保管してきた各種の学術資料を移管した施設であるという事情から現在、所蔵品の調査を進めている」とした。

 琉球新報などの報道機関に対し、遺骨の有無を明らかにしなかったことについては「所蔵品の把握はなお途上にあり、人員も限られた状況にあることなどから、収蔵状況などの問い合わせに応じることが難しい」と説明した。