高校生スイマー増加 指導者増え学校部活充実


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ここ数年、沖縄県内の高校で水泳競技者が増えている。15年ほど前よりも3割増え、関係者も大会の盛り上がりを実感する。従来、スイミングスクールなどのクラブチームの選手が中心だった各種大会で、学校の部活動で練習する生徒が多くなったのが要因。選手として活躍した教諭が指導者になるケースが増え、各校での水泳の部活動が活発化。一度競技を離れたが、高校に進学し部活動として再開する選手も増える。教諭らは「トップ選手だけではなく、部活動が高校で水泳を始める生徒の受け皿にもなっている。クラブの選手と共に沖縄の競技力向上につながるのではないか」と期待している。
(屋嘉部長将)

県高校総体、県新人大会の学校対抗戦で優勝した那覇高校女子水泳部=11日、那覇高校

 県内高校生の人数は2003年度が5万6958人で、17年度(速報値)は4万6499人と減少している。一方、県高校総体の水泳競技の出場者数は03年度の145人から17年度は187人と増加。10年の美ら島総体前の7年間で平均158・3人だった参加人数も美ら島総体後は181人と増える。

 県内の公立高校は全てでプールが完備されており、学校における練習環境は九州地区でもトップクラスだ。その中で競技をけん引している那覇西高の出身者が大学卒業後に母校に教員として赴任し、部活での指導方法を学んだ後、異動先の高校で指導している。

 加えて、美ら島総体前から始まった県高体連の水泳普及強化活動への理解が深まり、那覇西高以外での競技経験者や関心のある教諭が増えた。高校同士で合同練習を行う機会も増え、指導方法などを互いに共有、指導に役立てている。選手の実力に沿った指導にも気を配る。

 2年前に那覇高に赴任した水泳部の大城敏裕監督も高校時代は那覇西高水泳部に所属していた。那覇高では陸上トレーニングやプールでもフィンやパドルを使い、選手が飽きない練習を取り入れる。選手が互いに競い合い、競技レベルは向上。今年の県高校総体と県新人大会では女子が学校対抗で優勝した。

 幼稚園から小学生まで水泳をしていて、中学時代にバスケットボール部に所属していた那覇高校水泳部の金城愛海(1年)は、入部当初は25メートルを泳ぐこともできなかったが、今では1日の練習で計約5キロをこなせるようになった。県新人大会では入賞もした。金城は「練習がきつくてもみんなと一緒だから頑張れるし、負けたくないから互いにタイムも伸びる」と語る。中学までクラブの選手コースで練習していた田代琴巳(1年)は現在、部活のみでタイムを伸ばし、九州高校総体に出場した。

 クラブで練習する選手も一緒になって学校間で競い合い競技力は向上しているが、全国と差があるのも現実だ。県高体連水泳専門部委員長も務める大城監督は「クラブ、部活の選手が競い合い沖縄県全体の競技力が伸びてきている。全国との差は縮んでいくだろう」と選手と競技の成長を展望する。