地域

多良間ヤギ 島おこしへ 感染症予防法、確立に前進

ヤギ衰弱死の対策を指導する県家畜保健衛生所の仲村敏所長(右)と渡嘉敷美波獣医師=20日、宮古島市

 【多良間】「ピンダ」(多良間言葉でヤギの意)の島として知られる多良間村で6~7年前からヤギの衰弱死が相次いでいる。宮古島市の県宮古家畜保健衛生所や村内の畜産家によると、過去3年間で少なくとも50頭が死んでいるという。寄生虫による感染死と特定し、対策を進めてきた家畜保健衛生所は衰弱したヤギへの駆虫剤の投与法を工夫することなどで全快するとの結果が得られた。ヤギによる島おこしを打ち出す多良間村は予防法の確立に期待を寄せている。

 多良間村は1981年に、ヤギが県内で最も多い2469頭おり、「人よりヤギが多い島」として知られていた。近年は牛の飼育が盛んになったことやコスト面から2015年の飼育頭数は県内6位の585頭と減少しているが、村は「多良間島ピンダエコアイランド構想」を策定し、ヤギを活用した島おこしを目指している。
 県宮古家畜保健衛生所は、衰弱死について数年前に寄生虫が要因と特定。近年、海外産で大型の肉用ヤギ「ボア種」が多良間村に入ってきたことが寄生虫が増えた原因と推測している。在来のヤギは域外からの寄生虫に対する抗体を持っていないとみている。
 同衛生所は畜産農家に対し駆虫剤の投与を呼び掛けたが、国内ではヤギ用の駆虫剤がほとんど普及しておらず、牛用の駆虫剤では牛より毛が長いヤギの皮膚まで十分浸透せず、効果が見られなかった。
 同衛生所は今年1月、島から衰弱したヤギを宮古島市まで運び、直接治療を試みた。皮膚へ直接注射することや粉末状の駆虫剤を使用することで3月までに全快した。またこれまで用いられた皮膚に塗る駆虫剤を使用する場合でも回数、量を増やすことで効果が上がることも分かった。
 保健衛生所は同様の対策を推奨、3月以降は村内で感染の予防講習を実施してきた。衛生所の仲村敏所長は「いずれ多良間版の対策マニュアルとして配布したい。ヤギが島おこしとなり、過疎化が進む島に若い人が戻ってくるきっかけとなれば」と期待を込めた。
 多良間村山羊生産組合の知念正勝組合長は「予防法徹底を促していきたい。ヤギの需要は上がりつつある。予防法を徹底し、生産性を高めたい」と語った。(梅田正覚)