「当たり前」が差別に 沖縄と憲法で講演 首都大教授・木村草太氏


この記事を書いた人 大森 茂夫
木村草太氏

 沖縄弁護士会主催の憲法施行70周年記念講演会「沖縄と憲法」が23日、沖縄市民会館で開かれた。首都大学東京教授で憲法が専門の木村草太さんが講演し、米軍基地問題で沖縄が受けている人権侵害や差別について「本土にとって沖縄に米軍基地があることが当たり前になり過ぎていることに原因がある」と解説した。約600人が参加した。

 木村さんは人間として保障される権利である人権を「否定する人はいない」とした上で「あからさまな差別でも認識されないことがある。そのことが当たり前になっている社会では人権侵害と認識することは難しい」と、人権問題が起こる構造について説明した。

 沖縄の米軍基地問題を巡っても本土の人たちが沖縄に基地があるのを「当たり前」と思っている中で差別が意識されず、「人権問題が起こっている」と指摘した。

 本土側の「沖縄に基地があるのが当たり前」という意識形成は、本土から沖縄に米軍基地が移転し集中するに至った経緯が、情報が少なく認識されていないためだとし「客観的に見ても、基地を押し付けられても当たり前、という許し難い状況が起きている」と述べた。

 人権問題と認識させるには「まずその状況を知ってもらうことが出発点だ」とし、さまざまな世代に広く情報を発信することの重要性を強調した。