【沖縄】沖縄バスケットボールの発展に指導者として、そして経営者としても長年貢献してきた男性がいる。嘉手納町と沖縄市に店舗を構えるバスケットボール専門店「HI―FIVE(ハイファイブ)」の代表、多和田浩さん(57)だ。中学・高校のコーチ歴は36年、店は今年で開業30周年を迎える。細やかなサービス、選手の進路決定に生かせる広い人脈―。県内バスケ関係者からの信頼は厚い。
バスケ部だった中高時代の夢は「いつか自分の店を持つこと」だった。大学卒業後は学校で部活のコーチをしながら、警備員のアルバイトなどで開業資金を貯金。1988年10月、嘉手納町で母親が経営していた30平方メートルほどの食堂を改築し、28歳で夢を形にした。
バスケシューズ5足の販売から始まった店舗経営。浮き沈みはあったが、今も店が続いているのは「各学校との人脈が築けたから」。90年代、自らの足で一校一校訪ね、ユニホームの受注生産などを売り込んだ。1着だけ紛失したユニホームの追加注文対応など、大手では難しい小回りが利くサービスが強みだ。
海外にも独自の卸ルートを築き、米プロバスケリーグNBAのレア商品も多く取りそろえる。県民はもちろん、県外の熱心なNBAファンがインターネット販売で購入しているほか、米軍人からも人気が高い。
沖縄バスケ界の名将、安里幸男さん(63)は「コーチとして選手を育成し、店には憧れの商品をそろえている。今後も活躍してほしい」と期待する。
長いコーチ歴に加え、日本公認審判員としても18年活躍した多和田さん。Bリーグ開幕などを念頭に「子どもたちの夢が広がっている。この流れを次世代につなげていけるよう、できる限り続けていきたい」と笑顔で語った。(長嶺真輝)