キングス守備力生かし今季初勝利 Bリーグ第2戦 渋谷に快勝65-53


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 プロバスケットボールBリーグ1部西地区の琉球ゴールデンキングスは30日、沖縄県の沖縄市体育館でシーズン開幕第2戦を行い、65―53で東地区のサンロッカーズ渋谷を振り切って今季の初勝利を挙げた。

 キングスは19点差で惨敗した第1戦から一転して、試合の序盤から攻守で激しくプレーした。第1クオーター(Q)からインサイドでハッサン・マーティンが得点を重ね、津山尚大や二ノ宮康平の3点弾で勢いに乗った。第2Qは岸本隆一が得点やアシストでチームを引っ張り、34―23とリードして前半を終えた。

 第3Qからは石崎巧がゲームをまとめてリードを守ったが、第4Qは開始から約5分で1得点と苦しんだ。それでも失点を抑えながら我慢の時間を乗り切り、終盤に二ノ宮の3点弾などで試合を決めた。

 SR渋谷の山内盛久は約20分の出場で7得点2アシストと連日の活躍だった。キングスは7、8の両日、愛知県体育館で名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦する。沖縄市体育館の通算入場者数は30日の試合で10万人を達成した。(観客3555人)

キングス 1勝1敗
 65―53(17―9,17―14,19―19,12―11)
SR渋谷 1勝1敗

 【評】守備で我慢し続けたキングスが苦しみながらも勝利をつかんだ。第1Qから激しいプレッシャーでSR渋谷を抑え込むと、攻撃ではマーティンがインサイドで得点してリードを保った。第4Qに一時失速したが、守備の集中力を切らすことなく逃げ切った。SR渋谷はキングスの守備を攻略できず、最後まで得点が伸びなかった。(平安太一)

◇攻撃に課題残る
 佐々宜央HC(キングス)の話 勝てたことでほっとしているが、喜んでいられる状況ではない。チーム全体の攻撃には課題が残る。第1Qは体をぶつけて、パスを出させない激しい守備を選手がやってくれた。ただ、攻撃で自信をなくしてミスをする選手もいた。バスケの質はすっきりしていない。

◇攻められなかった
 勝久ジェフリーHC(SR渋谷)の話 キングスの守備が素晴らしかった。ボールを持ちたいところでもらえず、攻めたい場面で攻められなかった。いい意味で課題が分かった2日間だった。チームとしてここから学んで、前に進むいい機会にする。

◇守備力生かし 今季初勝利

キングス-SR渋谷 第1クオーター、ドリブルでインサイドに切り込む津山尚大=30日、沖縄市体育館(花城太撮影)

 キングスの守備力は最後まで衰えなかった。11点のリードで迎えた第4Q。キングスのシュートはリングにはじかれ、ミスも重なる悪循環に陥った。終盤に失速した第1戦の悪夢がよみがえるかに見えたが、同じ過ちは繰り返さなかった。しつこいマークで相手を自由にさせず、強くプレッシャーを与えて失点を防いだ。最後までリードを守り切り、佐々宜央HCは「選手たちが体を張って戦ってくれた」とうなずいた。

 第1Qから守備の強さを見せつけた。SR渋谷の攻撃陣に体を寄せて、思うようにプレーすることを許さなかった。試合開始から約5分を無失点で切り抜けると、津山尚大の3点弾やハッサン・マーティンのインサイド攻撃で点を重ねた。津山は「ディフェンスからしっかり入ろうと思った」と言い、マーティンは「チームで守ることができた」と感じている。

 第4Qの序盤に点を奪えず苦しんでも、津山は「ディフェンスを我慢して続けていれば流れが来ると信じていた」。SR渋谷の攻撃を徹底的に抑え、苦しい時間を乗り切った。持ち味の守備を生かして今季初勝利をつかみ、津山は「ここからだと思っている」と気持ちを引き締める。

 大差で打ち負かされた第1戦と、守備でしのぎきった第2戦。大型補強でチーム力を上げた「新生キングス」として、十分な成果を出せたとは言えない。津山も「ここから上がっていく」と現状には満足していない。「常勝軍団」と呼ばれた輝きを取り戻すために、キングスの新たな戦いは始まったばかりだ。(平安太一)

◇「ディフェンス強い」伊佐・渋谷AC 古巣たたえる

古巣のコートに戻ってきたSR渋谷の伊佐勉氏(左)と山内盛久

 キングスを創設時から支え続けた伊佐勉氏が、SR渋谷のアシスタントコーチ(AC)として古巣のコートに戻ってきた。「会場の雰囲気にのみ込まれないように気を付けていた。(SR渋谷の)選手はよく踏みとどまってくれた」と振り返る。

 古巣との対戦結果は1勝1敗。キングスの印象を「リーグで一番、守備の当たりが強いチーム」と語る。「第1戦は結果的にキングスが引いてしまったが、今日は素晴らしいディフェンスだった」とたたえた。

 2連戦を終えて「この会場で試合するのは気持ちいいけど、キングスを乗せてしまう」と会場の熱気をあらためて実感した様子だ。今季はACとしてSR渋谷を支えることになる。「(キングスでの)ヘッドコーチの経験も生かしたい」と力を込めた。