「ニュース女子」訂正なし 東京MX30日特番 賛否の意見紹介


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東京MXが放送した報道特別番組「沖縄からのメッセージ~基地・ウチナンチュの想い~」

 【東京】東京メトロポリタンテレビジョン(MX)の番組「ニュース女子」が、県内の基地建設反対運動に取り組む市民らをテロリストに例えるなどの内容を報じた問題で、東京MXは30日夜、報道特別番組「沖縄からのメッセージ~基地・ウチナンチュの想い」を放送した。番組は沖縄の歴史に沿ったり、高江のヘリパッド建設や辺野古での新基地問題を巡る反対・容認双方の声を取り上げたりした。しかし、ニュース女子が報じた事実関係の真偽などには踏み込まず、訂正や謝罪などはなかった。

 MXは「検証番組ではない」と前置き。「沖縄と本土の歴史について考えの違いを伝える」目的で制作をジャーナリストの吉岡攻さんに依頼した。吉岡さんは地元沖縄の人々20人以上のインタビューを番組で流した。

 琉球王国時代の非武の文化からひもとき、沖縄戦や米国統治下の土地接収、コザ騒動、日本復帰など節目の出来事を振り返った。少女乱暴事件、米軍普天間飛行場の返還合意、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備、高江や辺野古の問題に至る経緯や県民の基地への反発、複雑な思いについて、反対・容認、双方の人のコメントを拾って報じた。

 ただ、「ニュース女子」を巡っては、基地反対市民が「救急車を止めた」「米軍基地に反対という声は大多数の人からは聞かない」「反対市民は2万円の日当をもらっている」などと報じたことに対して「虚偽だ」との批判がある。

 しかし、特番では「救急車を止めた」という事実について、地元消防署が「誰が乗っているのかとの確認のために止められたことはある」としたコメントを紹介し、救急車の走行を妨害した事実はないことは報じたものの、コメントだけの内容にとどまった。日当についても、反対住民の「もらっていない」との発言を拾っただけだった。新基地建設への反発が強い民意にも触れたが、ニュース女子での報道には言及はなかった。