「希望の党」台頭、県内1、3区情勢に影響か 各党「波及は限定的」


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 今衆院選において全国的には、小池百合子東京都知事率いる「希望の党」が野党第一党の民進党などを巻き込みながら非自民・保守の受け皿として台頭しつつある。自由党が希望への合流を検討したり、日本維新の会が候補者すみ分けの選挙協力を結んだりしていることから、県内でも1区と3区の立候補予定者に一定の影響が及びそうだ。県内各党は「県内への波及は限定的だ」との見方が大勢だが、今後も動向を注視していく構えだ。

 「希望の党に入党しない」。9月29日、自由前職で沖縄3区への立候補を予定している玉城デニー氏(57)は沖縄市の農民研修センターに集まった支援者に明言した。公約の柱とする辺野古新基地建設反対の姿勢が希望と折り合わないと判断した上での発言だった。自由が希望に合流する場合は「党籍は残し、無所属候補として選挙に臨む」との姿勢を示した。

 一方、希望と維新の選挙協力が発表された30日からさかのぼること5日、維新前職で沖縄1区への出馬を予定している下地幹郎氏(56)は25日、報道陣に「連携できるとしたら小池新党(希望の党)だ」と連携の可能性を示唆していた。その上で「小池さんが1区に候補者を立てなければ、私たちにとってプラス要因だ」と期待する姿勢も見せた。

 1日時点で、県内小選挙区に希望公認の立候補予定者が立つ動きは見えない。県内小選挙区から立候補を予定している自民前職の一人は「寝た票を起こすことはあるかもしれないが、希望は保守なので、オール沖縄の票を取ることはないし、自民の票も固まっている。希望の動向で票が動くことはないだろう」と述べ、影響は限定的だとの見方を示す。

 一方、自民県連の幹部は「都民ファーストを掲げて都知事に就いた小池氏が都政を投げ出して国政に戻れば、批判は避けられない。これ以上、影響力が拡大することは考えにくい」としながらも「比例で票を伸ばされたら自民の獲得議席が減りかねない」と警戒する。

 オール沖縄勢力として県内小選挙区から立候補を予定する前職の一人は小池氏について「かつて自民党の防衛大臣で、辺野古新基地を押し付ける先頭に立った人だ。新党で『辺野古移設反対』を掲げるなら存在感が出るかもしれないが、現状では県民から相手にされない」と切り捨てた。

 党本部が希望に「合流」することになった民進党県連は態度を決めかねている。民進県連は辺野古新基地建設反対の立場を取っており、希望が推進を掲げた場合、政策にねじれが生じるためだ。清水磨男幹事長は「希望の党からどういう政策が出るか、バランスを見ないといけない」と慎重な姿勢を崩さなかった。