沖縄県秋季高校野球 4強出そろう 九州懸け7日激突


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 高校野球の第67回県秋季大会第11日は1日、コザしんきんスタジアムと北谷公園野球場で準々決勝4試合を行い、4強が決まった。シード4チームのうち、2チームが姿を消した。

 第1シードの石川は9-2の八回コールドで具志川商に勝利して24年ぶり11度目の4強入りを果たし、沖縄水産は4-3で第3シードの沖縄工に競り勝って8年ぶり20度目のベスト4進出を決めた。第4シードの沖縄尚学は延長十一回、4-3で糸満に競り勝ち、4年ぶり21度目の4強入り。興南は6-4で第2シードの中部商との競り合いを制して3年連続22度目のベスト4に進出した。

 九州の切符が懸かる準決勝2試合は7日、コザしんきんスタジアムで午前10時から石川-沖縄尚学、午後0時半(予定)から興南-沖縄水産を行い、8日午後1時から決勝を行う。

◇石川 隙逃さず一気コールド

具志川商―石川 3回裏石川、先頭で中前打を放つ比嘉優斗=コザしんきんスタジアム(内原優士撮影)

 第1シードの石川が、エースの好投で守備からリズムをつくると、打撃では強化したバントを効果的に決め、この日序盤に2併殺と安定した守備を見せていた具志川商の失策や野選を誘って得点を重ねた。終わってみれば八回コールド勝ち。池宮城郎監督は「相手の能力が高いので、一生懸命にやっただけだ」と、練習の成果を発揮した選手たちに目尻を下げた。

 主戦の伊波和輝は連日の登板のため体の重みを感じていたが「ペース配分をして低めに集めた」。調子が上がってきた変化球の割合を増やし、制球や緩急を付けた投球で、8イニング中5度、三者凡退に抑えた。

 打撃陣は前日の犠打ミスを反省し、準々決勝当日の朝、会場入りする前に学校でバント練習し準備した。本番ではその成果をしっかり見せつけた。

 終盤の加点で一気に試合を決めた。2-0の六回は、敵失や野選、捕逸などの隙を逃さず、9番登川晴天の適時打などもあり3点を加えた。八回に2点を返されたが、その裏は無死満塁から上位打線で得点を奪った。決勝打を放った3番山田大悟は「チャレンジャーの気持ちが結果につながった」とうなずく。

 九州まであと一勝。2打点の2番比嘉優斗は「優勝を狙い、きょうみたいにフルスイングでいく」と腕をまくった。(崎原有希)

◇沖水 上原 成長の4連続完投

沖縄工―沖縄水産 連投の疲れも見せずに完投した沖水の上原一帆=1日、北谷公園野球場(大城直也撮影)

 試合を重ねるごとに名実ともにエースとして成長する沖水1年の上原一帆が、4試合連続の完投勝利を果たした。1点リードの九回裏二死、仕留めれば最終打者となる沖縄工の3番棚原龍太朗は、8月の県新人大会準々決勝でサヨナラ安打を浴びた相手。「悔しくて顔を覚えてた。絶対負けない」。気合の直球で打たせて取った。上原は打っても八回の逆転打を含む3安打と大暴れ。古豪・沖水の8年ぶり4強の原動力となった。

 1年生主体だが、この日は2年生4人が先発出場した。その2年の先発捕手・平良優太と左翼手の桃原蒼哉も「今日のMVPの一人」(上原忠監督)となった。桃原は同点の七回、先頭打者として右中間に特大の三塁打を放ち、友寄力斗のスクイズで3点目のホームを踏んだ。

 前日の美来工科戦から連日投げる上原を支えたのが頼れる先輩・平良だった。この日走っていたストレートで組み立て、六回の与四球で招いたピンチも冷静に切り抜けた。八回には邪飛の好捕で盛り立てた。

 上原監督に「期待以上。これからも相当期待している」と太鼓判を押され、表情にたくましさを増すエース上原。「打たれてもいいので、ストレートを投げ込み、悔いのない野球をする」。第3シードを撃破し、準決勝で強豪興南戦に挑む。(石井恭子)

◇興南 1年4人、打って走って

興南―中部商 5回裏興南2死1塁、中越えの適時二塁打を放つ3番・兼城裕朋=コザしんきんスタジアム(又吉康秀撮影)

 1年の頑張りがチームの士気を高めた。興南は序盤で5失策と“らしくない”プレーが続き失点したが、2試合連続サヨナラ勝ちと厳しい試合を制した集中力を終盤に発揮。出場した1年の4選手全員が打って走って得点に絡み「プレーで引っ張ろう」と奮起した2年仲村匠平主将の逆転打で勝利をつかみとった。

 八回の逆転のきっかけをつくった初スタメンの1年勝連大稀は「ほしかった1点。チームが諦めずにつかんだ執念の1点だ」とうなずいた。

 1年の兼城裕朋も公式戦初のフル出場で3安打3打点と気を吐いた。守備ではイレギュラーバウンドしたボールへの反応が遅れるなど2失策で出塁や進塁を許した。一時逆転も許し「このまま負けたら申し訳ない。チームのために貢献したい」と気持ちを切り替えた。初回の先制打に続き、五回は2死から1年根路銘太希が安打で出塁すると、二塁打で得点につなげた。

 四回途中の2死一、二塁のピンチから登板し、強気の投球で被安打1に抑えた左腕宮城大弥も1年。「指の感覚が良くなった」と尻上がりに調子を上げ、流れを呼び寄せた。

 我喜屋優監督は初起用の選手らの活躍に「みんなの潜在能力を発見した」と評価。仲村主将は「諦めずにチーム一丸で勝つことができた」と喜び、あと一つに迫った九州大会出場に意欲を見せた。(崎原有希)

◇沖尚 11回、勝ち越しもぎ取る

沖縄尚学―糸満 11回沖縄尚学1死三塁、逆転の生還を果たす仲村琉希=北谷公園野球場(大城直也撮影)

 第4シードの沖尚が延長十一回を制し、4年ぶりに4強入りした。堅実な守備と比べ「スイングが弱い」と比嘉公也監督が打撃を不安材料として挙げる通り、糸満の玉城宙夢と山城真平の前に散発7安打の残塁10。初戦から連続完投の知念大成が初めて途中交代し、今大会初登板の奥浜逸貴が力投する好材料もあったが、主将で捕手の池間大智は「(うまくリードできず)ふがいない気持ちが強い」と話す。それでも、多くの自省とともに「勝ててほっとした」と薄氷の勝利をかみしめた。

 一進一退の攻防を繰り広げ3―3で迎えた十一回表、沖尚は先頭の代打、仲村琉希が中越え三塁打で好機をつくった。1死から再び代打が送られ、下地優琉馬の二ゴロの間に三走仲村が突っ込み決勝のホームを踏んだ。「どんな形でも1点が取れてほっとした」(下地)

 「ここから上に進むには(知念)1人では厳しい」(比嘉監督)と1-1の五回から、元悠次郎と奥浜が今大会初登板した。奥浜は2死一、二塁を抑えて八回までを自責点1でしのぎ、再登板の知念につないだ。

 十回1死二塁から、貴重な3点目につながるヒットを放った4番の水谷留佳は「チャンスでの1本、積極的な走塁を増やさないといけない」。石川との準決勝は「大きなヤマ場になる」と攻守を磨き上げて挑む。(石井恭子)

◇きのうの結果
▽準々決勝
石川 9―2(八回コールド) 具志川商
興 南 6―4 中部商
沖縄尚学 4―3(延長十一回) 糸満
沖縄水産 4―3 沖縄工