新基地建設行政指導文書発出「新基地はやはり造ってはならん」/翁長雄志沖縄県知事/ぶら下がり会見/2017年10月2日


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
辺野古新基地建設で希少種サンゴの発見などを踏まえ、工事停止の行政指導をしたと発表する翁長雄志知事=2日午後7時ごろ、県庁

 (冒頭、翁長雄志沖縄県知事が「行政指導文書の発出について」を読み上げる)
 翁長雄志沖縄県知事「9月27日に開催された、第9回普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会において、「環境省版海洋生物レッドリスト対象のサンゴ群体」および「K―0護岸を使用した海上運搬」が明らかになりました。
 件が、4月以降、4回の質問を行うなかで、貴重種サンゴについて照会していたにもかかわらず、沖縄防衛局は、7月に確認した希少サンゴ群体について、件に一切の報告をしませんでした。
 沖縄防衛局は、当該貴重サンゴ群体に対する保護・保全対策を行わず、その結果、14群体中、13群体が死亡、消失しております。
 また、K―9護岸については、願書に記載されていない桟橋として使用して、台船を接岸させて資材を搬入する計画が示されていますが、県は事前協議において全く説明を受けておらず、環境保全対策等が示されておりません。
 このような沖縄防衛局の姿勢は、不適切かつ不誠実なものであり、承認権者として環境保全措置の実効性を確保する上で、見過ごすことはできません。
 ついては、本日、沖縄防衛局に対し、
 工事を直ちに停止して、
(1)サンゴ類の環境保全対策について県と協議すること。
(2)K―9護岸について、実施設計と環境保全対策の事前協議をやり直すこと。
(3)県の立入調査に応じること
 を柱とする行政指導文書を発出しました。
 環境保全の視点を欠き、工事進捗(しんちょく)を優先する沖縄防衛局の姿勢は、大変遺憾であります。
 沖縄県としては、専門家の助言を得ながら、沖縄防衛局が実施するとしている環境保全措置の内容や資材の海上搬入、また、今後申請されるであろうサンゴ類の特別採捕許可について、厳正、かつ、適切に対応していく考えであります。  平成29年(2017年)10月2日 沖縄県知事 翁長雄志」

 ―先週の水曜日(9月27日)に希少種のハマサンゴが存在することや海上からの搬入について、環境監視等委員会というか国が初めて明らかにしたが、判明して一週間たたないうちにこのような行政指導という行動に打って出たというのは、これまで文書で防衛局に質問を出してというやり取りが多かったのか、今回の1週間も満たないうちに、こういう行政指導をするというのは、早い対応かと思うが、その経緯に至った理由を聞きたい。

 翁長知事「なぜ出したのかについては私の方で答えられると思うが、1週間というということになると何か実務的なことがあるのかどうか、そのことを含めて説明してもらってからにしたい」

 宮城理沖縄県土木建築部長「防衛局に対しては、これまでも環境保全対策の確実な実施を質疑の中で求めてきた。それに対して防衛局は誠意を持って対応すると回答をもらっている。しかしながら今回、環境監視等委員会の中で明らかになった環境省版の海洋生物のレッドリストであったり、K9護岸の海上搬入というものについては、これまでの質疑の中で回答がいただけなかった部分だ。
 また、今回短い期間でという話だが、実は27日以降、28日、29日と防衛局から直接説明を受けた。ただその中で我々が求めていることに対してあまり説明がいただけなかったということで、このまま工事の影響というのも不明ですから、工事をこのまま進めていくというのはどうなんだろうということで、いったん工事を止めてその内容については改めて協議をさせていただきたいということだ」

 翁長知事「あらかた説明があったと思うので、どうぞ」

 ―知事の言葉で、「間髪置かず」部分にこだわったものがあるのか。

 翁長知事「いま部長のほうから話があった。経緯を含め、その対応の在り方等々もあったので、やはりこれはしっかりと環境保全対策の確実な実施を求めるため、工事停止を求める行政指導文書は早い方がいいだろうと、というようなことも含めて、しっかり出させていただくということになった」

 ―サンゴの特別採補許可について、沖縄県では特別再補許可を不許可とした例はないと聞いている。今回不許可も考慮しているのか。

 翁長知事「このサンゴ類の不許可の例はないというようなことも、これも担当部の方で。私がこれを前提としてお話をするとあれなので、それも含めて担当部の方から」

 島尻勝広沖縄県農林水産部長「今までの事例の中では不許可した事例はない。ただ今回、いろんな環境の問題とかあるので、申請が上がれば規則に則って、厳正かつ適正に審査していきたい。手続き上の問題としては、農林水産部の方で適切に対応していきたい」

 ―知事からもひとこと。

 翁長知事「いまの説明に尽きるわけだが。特に加えることはないね」

 島尻農林水産部長「適正に事務処理はやっていくということだ」

 ―サンゴについて知事に聞く。申請に時間をかけるのも一つのやり方だが、時間をかけるほどサンゴが死んでいく可能性がある。一方で迅速に判断して許可を出せば工事を進めてしまうと。どちらの判断をしても苦しい立場になる。そのような立場に県が置かれているということについてどう思うか。

 翁長知事「個別の問題でもそのようにこうしたら、こうだ、ああいうふうにしたら、こうだ、というのは、これは今日の本会議等でもいろんな課題があったときに、ものの見方によっては、私どもの話していることが、政府を刺激してしまうとか、あるいはそれをやらないと、今度は知らんふりをされながら通り過ぎていくとか。いろいろ態度によって違ったりするところもあるもので、こういう、まあある意味でひとつの事例だが、いま言った視点はいつも考慮に入れながら、何が一番私どもの思いに近くなるだろうか、あるいは効果があるだろうか、そしてそれが厳正中立でやれるだろうか、というようなことを考えながらさせていただいている」

 ―希少なサンゴの群体について県に一切報告しなかったり、海上運搬について事前協議で説明しなかったりということだが、これが埋め立て承認撤回の理由の一つになっていくか。

 翁長知事「撤回については、今までも申し上げている通り、法的観点からの検討を丁寧に行っていくということになる。それからどのような理由が撤回の根拠となるかというのも慎重に検討しているところだ。今日までもいろいろ岩礁破砕等々、出てくるわけだが、今回のサンゴ、桟橋からの搬入等々の事前協議とあるべきものがないようなことも含めて、大きな流れ、前後関係、いろいろ工夫して考えているところなので環境保全対策など、看過できない事態となればしっかり対応していくというようなことで、今ひとつひとつ対処しているところだ」

 ―この2つだけでは埋め立て承認撤回には十分ではないということか。

 翁長知事「これは弁護士とか、いろいろいつもご相談しながらやっているので、このへんのところは相談してから。私の方で、こうだ、ああだ、というよりは、しっかり議論して話をした方がいい」

 ―防衛局が27、28日に来て、議会終了後に知事も報告を受けた。今日に至るまでどういう感想をもったか。

 翁長知事「今日、(県議会)本会議で、公舎で勉強する時間は相当なものがあるので、そういったこと等で頭がいっぱいなので、当然この件については報告を受けて、その日で議論をしているので、その担当の部局長がしっかりと午前中までには今、報告をした内容等をしている。それはその日の本会議が終わっての帰る間際のところで議論して、おおまか、お互いで議論した内容を今日このようにやっているので、私からするとそれを信頼をして今日はこういうコメントを申し上げながら、ただ実務的に詳しいのは彼らなので一緒に立ってもらって今応じているところだ」

 ―これまでも県は行政指導という手続きを幾度とやっていた。今回行政指導で知事があえて会見して発表する意義、知事の思いは。

 翁長知事「今日までいろいろ裁判もあったし、また現在差し止め訴訟もやっている。やはり沖縄県の立場としては、新辺野古基地はやはり造ってはならんという意志をしっかりと示さねばならないし、それは国に対しても県民に対しても示す中で、本来あるべき姿というようなものを私たちもしっかり判断してやっていくということで、こういう行政手続きもどういう形でこれからあるか分からないが、しっかり対応していきたい」

 ―工事にかかる県の立ち入り調査だが、潜水調査だけを指すのか。それとも、今回護岸の件も挙げているので、造成途中の護岸に係船機能を持たせることについての調査にもなってくるのか。

 翁長知事「立ち入り調査については、潜水調査に限らず、必要なものを求めていく。実態がまだわれわれも把握できていないので、それはぜひとも文書の中だけではなくて、確認をさせていただきたいということだ」(おわり)