沖縄高級魚、今年も稚魚生産不調 「ヤイトハタ」、ウイルスや感染症


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感染症やウイルスで2年連続稚魚生産が不調になっていたヤイトハタ

 沖縄県石垣島などで養殖が盛んなヤイトハタ(方言名・アーラミーバイ)の種苗(稚魚)生産が2年連続で不調になっている。2016年度は感染症で雄が減少して受精卵を得られず、17年度は本部町の施設でウイルスが発生した。石垣島に移して種苗生産し、10月中には要望数を全て配布できる見込みだ。

 9月29日の県議会本会議で、県農林水産部の島尻勝広部長が砂川利勝氏(沖縄・自民)の一般質問に答えた。

 16年度のヤイトハタの種苗生産は7万2千匹で、事業者からの要望数18万4千匹の約4割だった。県水産海洋技術センター石垣支所(石垣市)の雄が感染症で減少し、受精卵が得られなかった。17年度は県栽培漁業センター(本部町)で、ウイルスが発生して生産不調になった。緊急措置として石垣支所で種苗を生産している。現在は順調に推移し、10月中に17万8千匹の要望数を全て配布できる見込みだという。

 ヤイトハタは生まれた時は雌だが成長して雄に性転換する。減少した雄の確保にも手間取った。県は18年度に向けて、県栽培漁業センターの雄の一部を石垣支所に移し、本部町と石垣市の両方で親魚の育成に取り組む。種苗生産体制や運用改善については、検討会議で調整するという。

 ヤイトハタは1996年に県内で初めて生産に成功した。アジアで人気のある高級魚でもある。毎年7~8月ごろに県が育成した稚魚を配布し、各事業者が育成、出荷している。