「学術探究科」で学び深化 開邦高校、教育改革向け先取り 社会課題の取材、聞き取りも


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自分たちで調べたことを発表する生徒たち=2日、南風原町の開邦高校

 2020年から始まる教育改革。知識だけでなく、「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性」など新しい学力も問われるようになり、学習指導要領も変わる。沖縄県内では開邦高校が次期学習指導要領を先取りする形で昨年度から「学術探究科」を設置。「理数探究」「文科探究」の科目をスタートさせている。

 10月2日、2年生のクラスでは生徒たちが「沖縄の若年層の離職率とその改善案」「大型コンサート開催による経済効果」「沖縄の子どもの貧困」など、沖縄の社会課題について発表していた。聞いている生徒からは「他の観光地はどうなのか」「離職率が高い原因は若者だけにあるのか」など質問が上がる。

 テーマはグループ別に生徒たちが自分で設定。仮説を立て先行研究を調べ、夏休みを利用してアンケートやインタビューもした。外国人観光客カップル100組にアンケートをしたグループ、こども食堂を取材したグループもあった。

 この日の中間発表には外部の専門家も参加した。

 県こども未来政策課の比嘉斎主査は「子どもの貧困対策は、労働の問題など原因へのアプローチと目の前の現象への支援の2つがある」と指摘した。沖縄観光コンベンションビューローの安次富貴子さんは「沖縄県は現在、大型MICE施設を計画している。それも視野に入れるといい」とアドバイスした。

 これまでとは異なる形の学びに生徒たちは積極的に取り組んでいる。大森礼さん(17)は「受け身ではなく自主性が問われる授業でやりがいがある。他のグループの発表からは視点を学ぶことができる」と話す。

 「探究」の授業は週2時間。「総合」の時間と掛け合わせて実施することもある。今後、12月に最終発表、3学期には英語でのプレゼンテーションも予定している。(玉城江梨子)