タウナギ「安住の池」へ 安慶田中に放流


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【沖縄】15日から新聞週間。2013年に北中城村の米軍泡瀬ゴルフ場内の池で見つかった絶滅危惧種のタウナギ2匹が13日、沖縄市の安慶田中学校(與那嶺哲校長)のビオトープにすみかを移した。安慶田中のビオトープでは以前からタウナギが生息しており、2匹はようやく「安住の池(ち)」を得た格好だ。放流先が決まっていないという8月24日付の本紙記事を読んだ安慶田中の地域コーディネーターの屋宜栄勝さん(76)が受け入れを思い立った。記者を通じて、関係者と連絡を取り合い、今回の“引っ越し”が実現した。

北中城村のアワセ土地区画整理事業で発見され、安慶田中学校のビオトープに放流されるタウナギ=13日、沖縄市の安慶田中
放流されたタウナギ=13日、沖縄市の安慶田中

 人工池で捕獲された12匹のうち、10匹が飼料や環境変化に適応できずに死んだ。そのため、県環境評価審査会から保存のために、ビオトープや自然への放流が求められていた。

 アワセ土地区画整理組合の武米治郎事務局次長は「開発のために引っ越してもらった。(捕獲から)時間がかかりすぎたが、30年くらい生きるというので、長生きしてほしい」とほっとした様子だ。

 屋宜さんは「絶滅危惧種の保護に関われるのはいいことだ。今まで通り、整備に取り組みたい」と意気込んだ。與那嶺校長は「貴重な生物なので、子どもたちにも紹介したい」と語った。

 沖縄在来種のタウナギは水田や池、沼の消滅や観賞用としての乱獲で個体数が減少。環境省は絶滅危惧IA類(レッドリスト)に分類し、近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高いとしている。