IUCN調査終える 国と沖縄県、世界自然遺産登録へ手応え


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IUCNによる現地視察が終了し、今後の課題について語る大浜浩志・県環境部長(右)=20日午後、石垣市

 【石垣】「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に向け、登録の可否を勧告する国際自然保護連合(IUCN)の調査官による現地視察の全日程が20日、終了した。環境省や林野庁、沖縄・鹿児島両県の担当者らは同日石垣市内で記者会見を開き、調査官とのやり取りの内容や今後の課題を報告した。環境省の奥田直久自然環境計画課長は今後の課題は(1)外来種対策(2)利用者増に伴う自然環境の適切利用と管理―だとし、引き続き関係機関と連携し、対策強化を図る意向を示した。

 調査官らは今月11日から10日間かけて、四つの候補地を視察した。

 県内外の自然保護団体などから遺産登録に際し最大の懸念事項と指摘されていた米軍北部訓練場の存在については「眺望地点から返還跡地を俯瞰し、やんばるの森林の状況を説明した」(西村所長)とした。調査官からは特に質問やコメントはなかったという。ただ、視察期間中に推薦地に近接する東村高江で在沖米海兵隊所属の大型輸送ヘリコプターCH53Eが不時着炎上した事故については調査官から質問があり、具体的な位置を地図上で示したが「あくまで世界遺産になる過程では全く問題視されていなかった」と奥田課長は強調した。

 西村所長は「遺産の価値と保全の取り組みをしっかり説明できた」と語った。県環境部の大浜浩志部長は「やんばる地域、西表島とも非常に幅広い関係者が遺産登録に向けた取り組みを支持している」と述べ、それぞれ好感触を示した。