「KOにこだわる」 比嘉、きょう初防衛戦


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 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者・比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツジム、宮古工業高出、浦添市出身=の初防衛戦が22日に東京両国国技館で行われるのを前に21日午後、都内のホテルで前日計量が行われた。比嘉は50・7キロ、対戦相手のトマ・マソン(27)=同級5位、フランス=は50・6キロと、ともに同級リミットの50・8キロを一発クリアした。両者は鍛え上げた体で対面した後、互いに笑顔で握手を交わし、健闘を誓い合った。「タフな試合になる」と気を引き締めるマソンに対し、比嘉はあくまでもKO勝利にこだわる。衆議院選挙や台風21号が本州に迫る中でも、沖縄から駆けつける応援団にも「しっかり勝ちます」とメッセージを送った。

計量を終えてファイティングポーズする(左から)WBC世界フライ級チャンピオンの比嘉大吾と挑戦者のトマ・マソン(フランス)=21日午後1時15分、東京都千代田区のホテルグランドパレス(花城太撮影)

 相手をノックアウトし続け、デビュ-以来積み上げてきた連続KOは13。比嘉にとって今回の試合は初防衛だけでなく、県出身の浜田剛史氏らが持つ連続15KOに王手をかけられるのかにも注目が集まる。比嘉は王座についた5月の世界戦も含めて13戦13勝13KO。トマ・マソンの戦績は21戦17勝(5KO)3敗1分け。

 この日、計量台に上がるためにジャージーを脱いだ比嘉の体は、本人や野木丈司トレーナーが「前回以上の仕上がり」と自負するほど、絞り切り、力強い筋肉が隆起、万全の体であることを報道陣に見せつけた。計量も一発クリア。

 沖縄県産の黒麹を材料にした甘酒を飲みつつ、比嘉は「(初防衛は)絶対に今後にとって大事になる。倒すことにこだわる」とKO勝利に向け、力を込めた。22日の試合までに、ステーキやスッポンの雑炊でベストな状態に戻すという。

 5月のタイトルマッチでは1カ月前に減量苦でパニック障害になった経験から、今回は早めに取り組み約10キロを無理なく落とした。計量後、渇いた口をゆっくり潤しながら「誰にも分からない減量のきつさを野木さんが見てくれた。その期待に応えたい」と淡々と語った。

 初防衛戦ではKO勝利が期待される。浜田剛史氏もジムの具志堅用高会長も初防衛戦はKO勝利ではなかった。それでも「偉大な先輩より練習してきた自信はあるので」と語り、謙虚さの中に練習で培った自信と決意の強さを伺わせた。

 その姿に野木トレーナーも「ボクシングレベルはテクニックもフィジカルも前回以上。王者の自覚もあり、日々、成熟している」と太鼓判を押す。具志堅会長も「前回は試合1週間前は動いている状態じゃなかったが、今回の練習では今までにないスピードの動きをする」と、胸を張った。

 その比嘉を相手にするトマ・マソン。計量後、海外メディアの取材に対し、「明日はタフな試合になる。これまでの対戦相手とは大違い」と気を引き締めつつ、「人生において大きなステップになるだろう」と語った。

 22日の試合には、バンタム級6回戦に比嘉と同じジムの大湾硫斗(美来工科高出)も出場する。大湾もこの日の計量をクリアした。対戦相手はアルビン・メデュラ(フィリピン)で、大湾も「最初から倒しにいく」と力強く語った。