投票へ行こう! 森川友義・早稲田大教授(政治学)に聞く 「若者は4千万円損している」


社会
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森川友義氏(本人提供)

―若者の投票率が低いと指摘されている。

 「選挙に行かないことで若者は政府に払うお金と受け取るお金が違う。現状、20代は70代と比較して生涯で4千万円損している計算になる。本来、一生涯で払うお金と受け取るお金は一緒でなければいけないが、政府予算は(一方が上がると一方が下がる)ゼロサムゲームだ。支出が増えた分をどこかから持ってこなくてはいけない。そこで若者に影響が及び、世代間の不公平感が生じている」

―なぜ世代間格差が生まれ、改善されないのか。

 「悪いのは政治家ではない。考えてみてほしい。投票率の低い若者に予算を付けたら落選する。政治家が年収2千万円で議員活動をしていても、落選したら借金を抱え失業者になる。投票しない若者が悪い」

―投票率を上げるには。

 「残念ながら答えがないからいまだに投票率が低いままだ。20代の投票率は30%台で推移している」

―安倍首相は今回解散の大義を「消費税の使途変更」とした。国の借金返済から教育費無償化に変えることは若年層向けの政策になるか。

 「子育てにお金が必要になるのは30代だ。結婚し、お金を持っている人に税金を使うことになる。国の借金を返すためにお金を使う最初の予定であれば、10代、20代が得するはずだった。国債は60年のローンだ。この政策では若ければ若いほど損だ」

―まさに若者の投票行動が生んでいる現象か。

 「その通りだ」

―だけど政治はよく分からないという声も。どのように考えて候補者を選び投票したらいいのか。

 「最低限してほしいのは投票所に行くこと。候補者が決められないなら、何も書かずに白票を出してもいい。誰に投票したのかは公表されないが、若者が投票に行った結果は選挙管理委員会の記録に残り、投票率に反映される。後日、政治家が20代の投票率が上がったとみる。そうすると予算手当を若い人に付けた方がいいと判断する。まずは投票することが最も大事だ」

 「次に、立候補者を選ぶポイントは選挙区でも政党で考えた方がいい。日本の政治は政党単位で成り立っている。どんなに清廉潔白な人でも政党という縛りがある。政党が何を考えているのかを勉強し、自分の考えに合った政党に所属する人に投票することが意思を反映しやすい」

(聞き手・清水柚里)