衆院選から一夜明け「しっかりと方向性出てきた」/翁長沖縄県知事/登庁後のぶら下がり会見/2017年10月23日


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
衆院選から一夜明け登庁後、ぶら下がり会県で記者団の質問に答える翁長雄志知事=23日午前、県庁

―昨日の衆院選で受け止めを。

 「昨日も夜遅く、こういう形で皆さん方に報告もしたが、きょう明確に4区の方で、オール沖縄の方が破れたということを含めて、比例の方が今どうなっているか分からないが、いずれにせよ一定程度、この選挙の結果が出た。1区から3区までは明確に新辺野古基地、それからオスプレイ撤回、普天間の閉鎖撤去については、ある意味では大差で、しっかりと方向性が出てきたと思っている。

 4区の方は、なかなか一進一退でなかなか分かりにくい選挙だったが、ただ、宮古島市の方で大変大きな票の動きがあって、その要因が何だったのかを今考えている。

 それ以外のところでは、おおむね、無所属の仲里さんが健闘しておられるという状況だ。

 勝敗でいえば3対1ということで、私どもオール沖縄の思いが県民に届いたと思うし、4区においても、一つの所でだいぶ票が変わったので、市議選があったらどうかわからないが、その辺の所を読むと、おおむね、あの3年前の流れは維持ができているのかなという状況だ」

 ―自民は4議席中1議席でも落とせば、県民の辺野古反対の意思は減るという指摘もあった。

 「本会議でもいったし、こういうぶら下がりでも話をしたが、僕が自民県連さんに話をしたいのは、3年前に4選挙区全部こちらが勝った時に、その民意をあなた方は尊重しましたかと、まったく無視をしておいてね、ここで1議席返したから、衰えてるとか、なんとかいうものは、本来の地方自治の在り方から言うと大変おかしい。

 あれだけ全国で自民党が圧倒的に勝っても、なおかつ、この沖縄ではただ小さな政党だ、名前は言わないが、そういうのが大きな自民党を相手にしっかり3勝もしたと、それからもう一つの方も、一般的な、全体的な流れからいうとほとんど接戦であるというような状況がある。

 こういったことを、そういうふうに言うのは、僕はやっぱり、中央の意向の指示通りにしか動かないというものでは、沖縄県での自民党の政権与党というのは、これから以降も大きな役割を果たせないのではないか。県民の気持ちをむしろ政権与党だから、しっかりと政府に伝えて、沖縄の気持ちを少しでもくんでもらう、ところが、そうではなくて、官房長官等が民意が一つ、一画が崩れたというと、「ほら崩れた」と言って、同じ県民である自民党県連がそういう形で物事を発する、考えるのであれば、これは大変残念なことだと思っている」

 ―米軍ヘリの不時着炎上事故もあった。選挙戦に与えた影響はどう考えるか。

 「やっぱりあったと思う。ただ、根底にあるのは、県民は何万人集会もみんなそうだが、本土の人からするとなかなか理解できないかもしれないが、10万近い集まりを何回もやるというのは、みんな生活があるので、みんな生活がある中で、『やるぞ』というと、みんな集まってくるということの、一人一人の自覚、こういったものは大変強いものがあると思っている。

 だから、こういうようなことを理解できないようでは、沖縄の政治、日本の民主主義というか、沖縄の地方自治と民主主義、人権などをほとんど一顧だにしない政治が続くと、これはまた中央にも及びますよと、全体的に日本の国がそういう流れになっていきますよということをまた沖縄から発信していきたいと思う」

 ―今回一つの選挙区の敗北が、名護市長選や知事選へ与える影響は。

 「市町村長選では、うるま市も宜野湾市も浦添市も割合大差で負けている。ところが、今度の衆院選では、その三つとも、こちらの方がみんな勝ってる。だから、新辺野古基地という問題で捉えると、宜野湾だろうが、うるま市だろうが、浦添だろうが、駄目だと言っているわけだ。

 市町村という意味では待機児童の問題とか、いろいろ町独特のものもあるし、それから現職ということもあるんでしょうし、いろいろあるが、今回の衆院選で示されたのは、そういった選挙とは別に、県政レベルの選挙になれば、そういったことになると。

 名護は名護の市の選挙だが、しかし名護市の問題は全県レベルの選挙になっているので、そういう意味からすると、名護市の新辺野古基地の建設反対というようなものも、あるいは普天間のオスプレイの撤回とか、こういったことが争点になるものについては、しっかりと方向性が出せるのではないかと思っている」

 ―今回出た辺野古ノーの民意を受けて、埋め立て承認撤回についてはどうか。

 「これはいつも何回も言っているが、しっかりと頭の中に入っていて、これはよく申し上げるが、法律的な観点も大変重要だし、タイミングという意味でも重要だし、政治的な意味合いも含めてしっかり対処していくということだ」

 ―4分の1の部分ではオール沖縄が破れたが、改めて全県的な意思を示すための県民投票の必要性は、今回の選挙で何か変わったところはあるか。

 「県民投票については従来から一貫して言っているが、全国的な、今日まで行われた住民投票は一定の役割を果たしているが、これはしかし県民が自主的に考える話であって、私どもが例えば、県民投票しようや、というような形で呼び掛けるものではないと思うので、そういった動きでそういうことになっていくと、影響も大きいとは思うが、そのへんのところは、そういう状況になってから県政としては考えていきたいというふうに思っている」(おわり)