パラシュート降下訓練 米軍2時間前通告 津堅で実施、船舶通過 県など安全面懸念


この記事を書いた人 大森 茂夫
MC130J特殊作戦機からパラシュートで降りる米兵=2日午後6時、うるま市の津堅島沖(明真南斗撮影)

 【うるま】米空軍は2日午後4時すぎから、うるま市の津堅島訓練場水域とされる海域でパラシュート降下訓練を実施した。県に訓練の予定が伝えられたのは実施直前の午後2時15分ごろだった。数時間前の通告は異例。訓練実施中、民間漁船とみられる船舶が海域を通行していた。県やうるま市は以前から津堅島海域での訓練中止を求めており、今年に入り8回目となる訓練の強行に、反発を強めている。

 通例では降下訓練実施の数日前に米連邦航空局の航空情報(ノータム)を受け、沖縄防衛局が地元自治体に通知する。今回、県や市には10月27日時点で水域を訓練に使用する文書が届いていた。だが、パラシュート降下訓練であることは明記されず、実施時間も「2日0時~24時」と特定されていなかった。県の金城典和基地対策課長らは連絡を受けて訓練実施現場近くに駆け付け「漁船や旅客船も通る水域だ。直前だったので、通知が行き届いているか心配だ」と懸念を示した。

 勝連漁協の上原勇行組合長は「ファクスの見落としがあるかもしれない」としつつも、記者からの電話で降下訓練の実施を知ったと説明した。実施中、水域周辺を民間漁船とみられる船舶が通過していた。

 県は1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意でパラシュート降下訓練の伊江島移転が決まっているとして、津堅島沖での実施に反対している。

 うるま市議会は9日、臨時会を開き、抗議決議と意見書を可決する。