子ども避難所、重要性確認 那覇でシェルター全国会議


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沖縄で初開催の子どもシェルター全国ネットワーク会議で話し合う参加者ら=4日、那覇市首里石嶺町の県総合福祉センター

 虐待や貧困などで居場所を失った子どもの緊急避難先として、全国15カ所でNPOなどが運営する「子どもシェルター」の関係者らが集う2017年度子どもシェルター全国ネットワーク会議が4日、那覇市首里石嶺町の県総合福祉センターで開かれた。沖縄での開催は初めて。弁護士や運営職員ら約100人が参加し、課題を話し合った。

 18歳以上の子どもは児童福祉法の適用外となるため、高年齢の子どもを対象に一時的に安心して暮らせる場所を提供する子どもシェルターの必要性が近年、指摘されている。沖縄では16年4月、おおむね15歳から20歳までの女子を対象とした「月桃」が開所し、これまでに延べ24人の子どもを受け入れた。一人一人に弁護士が付き、子どもの抱える問題に対応している。

 全国ネットワーク会議の総会では、昨年の活動報告などがされたほか、シェルター未設置県での需要のアンケート調査や意欲を持つメンバーの掘り起こしが提案された。参加者からは「小さな県でも、常に一定数の需要はある」といった声や「懸命に働く人をどう確保するかが大事だ」「開所は意欲があればできるが、継続は大変だ」などの意見が上がった。新たな代表に神奈川県のNPO法人子どもセンターてんぽ理事長の影山秀人弁護士が就任した。

 総会後の分科会では「運営」「スタッフ」「子ども担当弁護士」の3分野でそれぞれの課題などを話し合った。通称「コタン」と呼ばれる子ども担当弁護士の分科会では、広島県の参加者が、子どもの要望と児童相談所の方針が対立するケースがあったとして「弁護士がついていないと児相の方針にあらがうのはかなり難しかったと思う。生活保護なども一度担当者に駄目だと言われ、弁護士なしでは諦めていたと思う」と話した。愛知県の参加者は、子どもとの距離感について「どこまでやるべきかということに悩んだ」と体験談を報告した。

 NPO法人子どもシェルターおきなわの横江崇理事長は沖縄での総会開催について「沖縄で開設する際も、全国の事例を参考に作った。経験を未設置県に伝えて役に立てればうれしい。全国会議を開催することで、沖縄の子どもの貧困などの問題を知ってもらえる」と話した。