爆音のない空、沖縄県民に 飛行差し止め要求 嘉手納第3次控訴審初弁論


この記事を書いた人 大森 茂夫
第3次嘉手納爆音訴訟控訴審の第1回口頭弁論に向けて法廷入りする原告団・弁護団=7日、那覇市樋川の福岡高裁那覇支部

 米軍嘉手納基地の周辺住民2万2048人が国を相手に夜間・早朝の米軍機飛行差し止めなどを求めた第3次嘉手納爆音訴訟控訴審の第1回口頭弁論が7日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。住民側は新川秀清原告団長や代理人弁護士が意見陳述し、騒音被害を訴え飛行差し止めを求めた。国側は騒音がさらされている状況などで一審那覇地裁沖縄支部判決は事実認定に誤りがあるとし「賠償額は高額で不当だ」と訴えた。

 一審判決は爆音を違法として総額約302億円の損害賠償の支払いを国に命じた。一方で米軍機運用は支配が及ばない第三者の行為として「第三者行為論」を採用し、飛行差し止め請求は退けた。健康被害については高血圧症発生のリスクなど一部を認めた。

 意見陳述で新川原告団長は「被害放置の実態を救済することが司法の役割。原告の心の叫びに耳を傾けてほしい」と裁判官らに求めた。「第三者行為論」については代理人弁護士が日米安保条約は破棄できることを理由に破棄によって米軍基地は存続できず、結果的に国は侵害行為を除去できるとして「一審が国に米軍機の運航を制限する権限がないため侵害行為を除去できないと結論付けたことには理由がない」と指摘した。

 一方、国側は騒音評価について最近の騒音は軽減しているなどとして、騒音の最高値などで被害認定した一審の判断は誤りと指摘した。健康被害を一部認定した点についても、嘉手納基地周辺地域の騒音暴露は「限定的」などとして「リスクが高い環境とは評価し難い」と主張した。

 次回弁論は来年1月16日。住民側は次回以降で、基地周辺5市町村の住民12人による証人尋問を予定。裁判官3人が現地視察することも求めている。