比嘉遥の強肩花開く やり投げ22年ぶり沖縄県新


社会
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男子一般やり投げ決勝で、71メートル31の県新記録で優勝した比嘉遥(提供)

 競技を本格的に始めて1年3カ月、陸上男子やり投げの比嘉遥(興南高―九州共立大1年)が成長を続けている。10月20日の第33回U20日本陸上競技選手権大会で70メートル22で優勝し、全国規模の大会で初めて頂点に立ったのに続き、3日に北九州市立鞘ケ谷競技場で行われた西日本カーニバルは、県新となる71メートル31をマークし再び栄冠を手にした。22年ぶりの県記録更新だった。「肩の強さは負けない」と自負する投てきの逸材が大輪の花を着実に開かせつつある。

 これまでの県記録は1995年の県民体育大会で玉城信也(糸満市)が出した71メートル20。比嘉は大学進学後、県記録を意識し、大会の度に県新を掲げ臨んだ。

 記録更新となった西日本カーニバルは調子自体は「特別良くはなく、逆に悪い方だった」という。1投目の助走の段階で、バランスが悪いことを認識。監督の助言を受けながら、フォームを含め1投ごとに修正を加えていった。

 特に注意したのが「左肩の開き」だった。やりに力を伝えるためにも、投げる直前にしっかりためをつくり、肩が早く開かないように意識した。3投目で69メートルを投げ、感覚を取り戻してきたと実感。予選3位で決勝に進んだ段階で、県新への予感があった。

 迎えた最終6投目。「攻めていこう」と臨み、70メートルラインを大きく超えた。新記録を狙って投げたとはいえ、「今シーズンの目標を達成できた」と喜び、毎日5時間ほどの厳しい練習の成果を実感した。

 名護市立久辺中学時代は軟式野球に打ち込み、投手や捕手を務めた。中学3年時にはジャベリックスローの日本中学記録も更新した。肩の強さは折り紙付きだ。高校では硬式野球部に入部し、外野手として甲子園を目指した。夏の県大会で敗退し、やり投げに打ち込むことを決意した。

 「肩の使い方など野球をしていたことが生きている」と話す。170センチ、78キロと競技者の中では小柄だが、「肩の強さだけは、誰にも負けない自信がある」と言い切る。大学入学後にウエートトレーニングも重ね、ベンチプレスやスクワットなどの重量は、この半年余で20~30キロ増した。

 大会では優勝はあまり意識していない。「記録をしっかり残していくことがその先につながる」と焦りもない。冬場には下半身の強化に取り組み、フォーム固めも図る。経験はまだ浅いが、自慢の肩の強さに足腰の強さが加われば、さらなる飛躍が期待できる。