会見全文/オスプレイ事故率過去最悪「訓練の頻度上げているのでは」/小野寺五典防衛相/閣議後会見(沖縄関係抜粋)/2017年11月10日


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
小野寺五典防衛相

 ―オスプレイの事故率について伺う。米海兵隊が運用するオスプレイの事故率が3.27で政府が把握する中で過去最悪となった。沖縄県の翁長知事も昨日「大変理不尽で県民として堪えられない。沖縄が安全保障を支えているにもかかわらず一番ないがしろいにされている」と反発しているが、関係自治体にどう説明し、理解を求めるか。

 「MV22オスプレイについては、国内での不安の声があることは十分承知しております。今般、防衛省の求めに応じて、米側からオスプレイの最新の事故率が提供されました。事故率については機体以外の要因、操縦ミス、操作ミスなどで発生する事故もあることから目安の一つとして考えるということでございますが、この評価についてしっかり受け止める必要があると思っております。

米海兵隊からはMV22オスプレイの機体の構造上の問題ではないとした上で、事故率が上昇した背景として、高度な能力を有するMV22オスプレイは最も過酷な飛行環境で運用されており、以前の航空機が従事することができなかった多くの任務に投入されているとの説明を受けております。

 今般、防衛省の求めたところ、米側から最新の事故率の提供があったことを踏まえ、防衛省としては速やかに情報をお伝えすると共に関係自治体にも説明したところであります。

 この1年でオスプレイの事故が続いたことで、国内に不安の声があることは十分承知をしております。米側の運用に際しては安全面の確保が大前提の下ということで、引き続き米側には運航面で最大限の配慮をするように求めていきたいと思っています」

 ―事故率について伺いたい。米側に最大限の配慮を求めるというが何か具体的なものはありますか。

 「これは昨年12月に沖縄で事故がありました。その後もオスプレイの事故が続いていることを踏まえ、またこれはオスプレイだけではなく、米側のイージス艦などの事故も続いておりましたので、そういうことを踏まえて先般のフィリピンでの日米の防衛相会談において、私から安全な運航についてマティス長官に求めたところです」

 ―安全な運航というのはどういうことを求めているのか。

 「ちょっと具体的にどのパイロットがどう危険だとか、具体例な事例は知っておりませんので、各部隊についてしっかりとした運航に務めて頂きたいということを求めているということです」

 ―関係自治体にはどのように説明する予定か。

 「これは事故率を受け止めた後、速やかに関係自治体にも通知したと報告を受けております」

 ―大臣が直接沖縄に行って、知事らに説明する予定はないか。

 「今、そのような予定はございません。沖縄防衛局から関係自治体には説明しているんだと思います」

 ―オスプレイの使い方について機体の構造上、かなり厳しい訓練をせざるを得ないということで、事故率の上昇につながっているのではないかと思うが、安全な運航を求めたところで、訓練しないと練度あがらない。

 「機体のその構造上という問題よりは、今お話ししたようにオスプレイの特性から考えて従来の航空機が従事できなかった任務に投入できるということ。

 それだけ能力が高いということです。そういう能力を発揮するためには同じように訓練、練度を上げる必要があると思います。

 その訓練についてもやはり安全を確保しながら、十分時間をかけて練度を上げていくことが重要だと思っていますので、それは米側も運用に気をつけると思いますし、今後自衛隊がこの装備を配備する場合にも十分注意したいと思っております」

 ―通常、事故率は経年で下がっていく。今回、オスプレイの事故率は上がっている。米側の説明では最も過酷な飛行環境で運用していると。今後、過酷な運用が続く限りなかなか下がっていかないと思うが。

 「通常の装備の稼働率というのは新しい装備が入ってさまざまの開発途中でありますので、不具合を見つけながら整備をしていく。ある程度成熟した中で稼働率が上がって、またその機体がかなり古くなってしまってまた稼働率が下がるというカーブを描くと言われています。

 その中で、オスプレイの導入から10年以上が経ち、すでに装備についてはしっかりある程度円熟した形なんだと思います。ただその分、新しい任務をさらに付与する訓練を行うんではないか。

 また今の安全保障環境が大変厳しい中、かなり米側も訓練の頻度を上げているのではないか。そういう中での発生した事例ではないかと思っています。

 ただいずれにしても安全な運航が基本でありますので、そのことはしっかり米側に対応して頂きたいと思います」

 ―厳しい安全保障環境の中で事故率上がっていると仰っているが、海兵隊全体では上がっていないと思うが、オスプレイだけ上がっていることはどう考えるか。

 「厳しい安全保障環境でも事故はあってはならないことですので、安全な運航が基本だと思っております。その中で、米側の説明からすれば通常の航空機では対応できないようなそのような任務においてもオスプレイは対応できる優秀な機体であること。そのことを踏まえた訓練であると思います。ただ、どのような訓練であっても安全に十分気をつけて対応することが大切だと思います」

 ―そうするとオスプレイしかできない任務というのは導入から続いている。なぜ今になって上がったのか事故率が。それはどう説明するか。

 「導入時点でのまず訓練、そしてある程度導入が進んで航空機の能力が十分把握できた後の訓練はおそらく訓練の内容は変わってくると思います。

 米側からは説明においては従来の航空機には対応できない、そのような任務、対応する訓練があるということを説明受けていますので、そういうことに尽きると思います」

 ―オスプレイの任務はずっと導入から変わってない。ここにきて安全保障環境が厳しくなったといっても海兵隊の事故率はオスプレイ以外は上がっていない。そこを論理的に説明を。

 「ちょっとオスプレイ以外は上がってないかどうかは私は全体の数字を見てませんので、米側から説明受けている数字というのは・・・。

 具体的には2016年の海兵隊航空機全体の事故率が2・63、2017年が2・72と少しは上がってますが、オスプレイはかなり上がっているところだと思います。

 事故が続いているので、昨年確かクラスAの事故で、沖縄の昨年12月、ことしオーストラリアとシリアで続いたということが、この事故率に反映しているのではないかと思います」

 ―四軍とも訓練厳しくなっている。オスプレイだけがなぜ、オスプレイにしか出来ない任務は導入から変わっていないのにこれだけ跳ね上がったのか。

 「そのことについて、もし、さらに質問が必要であれば米側に確認させて頂きたい」

 ―大臣はどう考えるか。

 「私どもとしては、厳しい任務の中で、このような事故率が起きたことでありますが、これはやはり安全性を確保することが大切だということに尽きると思います」

 ―厳しい任務は四軍ともやっている。四軍の航空機は全部厳しい任務やっているけど、なぜオスプレイだけ事故率が跳ね上がっているのかということを聞いている。

 「今、ご指摘があった内容については、私が運行者ではありませんので、その点について疑念があるのであれば米側に確認していただくことになると思います」

 ―運行者ではないが、防衛大臣として、沖縄の基地であるとか、今度は陸上自衛隊も導入する。運行者ではないが当事者だ。

 「米側の説明では高度な能力を有するオスプレイが最も過酷な運用環境で運用されており、以前の航空機が従事することができなかった多くの任務に投入されている。最近、そのような事例が多くなって言うということではないかと思います」

 ―開発当時からオスプレイしかできない任務は続いている。

 「まあ、あの開発当時とある程度、機体が成熟した中で行う訓練というのは任務の内容も変わってきていると思いますし、また任務の内容というのは安全保障環境において、想定した形での訓練を行うことになると思いますので、安全保障環境が厳しくなれば、また訓練の練度も変わっていくと思います」

 ―別件。普天間飛行場の代替施設建設について伺う。会計検査院が沖縄防衛局発注の海上警備の人件費が約2億円過大だったと指摘している。今後の警備業務についてはどのように是正していく考えか。

 「今の会計検査院の指摘ですが、防衛省としては当該業務の予定価格を決定するに当たり、業務の内容が特殊かつ大規模であり、他省庁及び他の機関での他の事例と比較することが困難であることから、警備業を営む者から見積もりを聴取するなどしたところであります。その際、見積もりを3社に依頼したところですが、2社から辞退の申し出があり、結果として1社から提出を受けた見積もりを考慮して予定価格を決定したところです。

 ただ、今般会計検査院から指摘がありました。そのことを踏まえ、今後海上警備業務の積算に当たっては業務内容を十分精査の上で、同種の海上警備業務に係る他の機関を含めた取引の実例価格及び官公庁の定める労務単価によることができるものについてはそれを採用して労務費の積算を適切に実施するよう各地方防衛局に周知をすでにしております。

 また、次回からの海上警備業務の契約においては競争性の向上を目的として入札の参加要件のある警備業者が増加するよう、業務実施期間を従来より長期化するなどの措置を講じて競争ある入札になるように努力していきたいと思っています」(おわり)