Q.子ども産むのに適した年齢は?
今日の質問は、子どもを産むのに適した年齢は? 何歳までは子どもを産むのが危険とかありますか? です。中学3年生からです。
A.自分の将来を長い目で考えて
精子と卵子が合体して始まる妊娠は射精が始まったら、月経が始まったら、起こる可能性があります。でも、赤ちゃんとお母さんが出産まで安全に過ごすのは簡単なことではありません。
2015年の1年間の統計を紹介します。妊娠12週以降で自然に死産し、生まれてこれなかった胎児は約1万1千人、亡くなった妊産婦は39人です。この数には、人工妊娠中絶手術による人工死産は含まれていません。医療技術の進んだ今でも妊娠を続けること、出産すること、生まれてくることは命がけなのです。
思春期の間は身体の面では、おとなに向かって変化する途中なので、赤ちゃんだけでなく母体にも無理がかかり、命の危険が高まります。35歳を超えての初めての妊娠や出産も危険は高くなるので、病院は特別な配慮をしてくれます。
出産の後は、親として責任をもって子どもを育てるという長い期間にわたる役割もあります。心の面では、おとなとして自律・自立して余裕をもって子育てができる状態が望ましいのです。これは人によるので、一律に何歳になれば大丈夫とは言いづらいです。
日本での1人目の子どもの出産平均年齢は、26.4歳(1980年)、28歳(2000年)、30.7歳(15年)と少しずつ高くなっています。子どもを産むのか産まないのか、産むとしたらいつごろ、何人子どもを育てるのかは、それぞれの人が考えて、子育てのパートナーになる人と一緒に決めていいことです。
ただ、医療の助けがあっても年齢が高くなると、受精や妊娠を続けることのしやすさ、母子の安全などについてのハードルが高くなるので、今から考えておくことは大切です。
自分の将来について、今日話したことも含め、長い目で考えてみてくださいね。
徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。
心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。
新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。