高江住民、消えぬ不安 米軍ヘリ炎上1ヵ月 部品いまだ散乱


この記事を書いた人 平良 正
米軍ヘリ炎上事故で現場の牧草地から拾った部品を手にする地主の西銘晃さん=8日、東村高江

 【東】米軍ヘリCH53Eが沖縄県東村高江の牧草地に不時着し、炎上した事故から11日で1カ月になる。事故原因について具体的な説明が何もないまま同型機が飛行再開し、米軍機が集落の上空を飛び交う現状に、地元の不安は消えない。日本側による原因究明は米側の協力が得られず進んでいないのが現状だ。

 ヘリが炎上した場所は現在、ブルーシートで覆われている。シートはくいやワイヤで地面に固定されている。地主の西銘晃さん(64)によると、シートをはがすと、まだ油の臭いがするという。

 事故当日、現場には刈り取る予定だった青い牧草が伸びていたが、いまは枯れた草が目立つ。敷地端からへリ炎上地点に向かう部分は、枯れた草が一直線につながり大型車両などが行き来した跡がそのまま残る。

 米軍は事故機の機体を解体して回収、残骸と共に周辺の土も重機でトラックに載せて運び出した。だが、現場には事故機のものとみられる細かな破片や繊維のようなものがまだ散乱し、焦げた跡が残る黒いすすが付いたボルトなども見つかった。

 高江区は米軍機が集落上空を飛ばないよう求めているが、仲嶺久美子区長は「事故後も米軍機が集落上空を飛ぶことがよくある。訓練に改善がみられない」と指摘する。「また事故が起こったらという不安もよぎる」と危惧した。事故原因の解明がないままの飛行再開については「区への配慮が全くみられない。村や沖縄防衛局に抗議をしても変わらない。どこに訴えればいいのか」と声を落とした。

 西銘さんは事故後、頭上を飛び交う米軍機に憤りとともに「怖い」と思うことが増えた。「なぜこんなことが起こったのか、1カ月たっても何も説明がない。米軍はこれまでも同じような事故で、うやむやにしてきた。これでは県民の不安はいつまでたっても消えない」と訴えた。

 県警は現在、米軍に対して機体残骸の確認など捜査に関する申し入れをしているが、米軍からの正式な返答はなく捜査は進展していない。