補助金を不正受給 伊平屋漁協、領収書偽造認める 適正化法違反の疑い


この記事を書いた人 平良 正
伊平屋村漁協組合員に配られた補助金の目的外使用について書かれた資料

 【伊平屋】沖縄県の伊平屋村漁業協同組合(新垣雅士組合長)は離島漁業再生支援交付金について、偽造した領収書を添付し未購入の物品を購入したと虚偽の報告をし、不正に補助金を受給していた。2012年から17年6月までに組合長を務めた諸見富男前組合長は琉球新報の取材に対し、領収書の偽造を認めた。伊平屋村(伊礼幸雄村長)は、漁協が提出した実績報告書に不備があったにもかかわらず、県から補助金を受け取り漁協に支払っていた。

 10月31日に行われた伊平屋村漁協の臨時総会で議題に上がり、漁協は補助金返還の検討も含め金額などを精査している。

 12~16年度までに交付された約3500万円のうち、少なくとも約680万円が目的外使用や使途不明金として計上された。補助金適正化法違反の疑いがあり、一部の村民は刑事告発を視野に入れている。

 「離島漁業再生支援交付金」は、漁場の生産力向上に関する取り組みを行う漁業集落への支援として、国が50%、県25%、村が25%支出する交付金。県によると、12年度から15年度までは毎年694万8千円、16年度は689万8千円の計3469万円が村に交付された。会計処理などの事務を漁協が受託し、村から漁協に交付金が支払われていた。

 13年度はパヤオ(浮魚礁)の設置費として177万4500円が漁協に支払われたが、パヤオ自体は12日現在、設置されていない。約26万円でタブレットパソコンを5台購入したと報告し、補助金を受け取っていたが実際は購入していなかった。

 また、モズクの販売促進のための出張費を、県外で開かれた郷友会への参加費として目的外に使用していた。新垣組合長は「ずさんだったと認識している。組合の運転資金になっていた」と話した。前組合長の諸見氏は「私的利用は全くない。自分の認識の甘さがあった。申し訳ないと思っている」と述べた。

 伊礼幸雄村長は村がずさんな処理をしたことに対し「村民に大変申し訳ない。今後このようなことがないよう二重三重にチェックする」と強調した。県水産課は「内容を精査して報告するよう伊平屋村に求めている」と述べた。