二人三脚王者の夢 中城中・謝花さん 父とボクシング鍛錬


この記事を書いた人 琉球新報社
自らつくった練習場で謝花海光さんのパンチを受ける父の海斗さん=13日、沖縄市内

 【中城】「将来はチャンピオンに」―。中城村に住む謝花海光(かいり)さん(12)=中城中1年=と父親の海斗さん(33)は二人三脚でボクシングに励む。海光さんはことし3月の全日本アンダージュニア大会、16、17年のU―15全国大会を連覇している実力者だ。現在は海斗さんがつくった沖縄市内の練習場で指導を受けながら、トレーニングに汗を流している。

 海光さんがボクシングを始めたのは小学2年生の頃。スポーツを始めたいと思っていた海光さんを、海斗さんが近所のボクシングジムに連れて行った。「気が弱かったから、自分を守るために強くなってほしかった」と振り返る。体験練習を終えた後、海光さんは笑顔で「楽しかった」と一言。親子のボクシング生活が始まった。

謝花海光さん(右)と父の海斗さん

 海斗さんはボクシングに関しては素人だったが、指導者が海光さんに話すことを聞いて勉強した。ジムを転々として指導者が変わる中、知識を増やした。

 9月ごろ、海斗さんは海光さんのための練習場をつくることを思いつき、実行した。海光さんも、時間を気にせず集中できる練習場ができたことに「ありがたい」と感謝する。

 海斗さんが考える海光さんの武器はスピードだ。「相手に打たせずに打つ」というアウトボクシングのスタイル。「相手を殴るのは好きじゃない。リングでは技術を競っている」と語る海光さんの憧れは、世界チャンピオンのワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)だ。ロマチェンコと戦った選手は、パンチが当たらず、戦意を喪失するほどだ。海光さんは「強い選手ではなく、うまい選手になりたい」と意気込む。

 海光さんは「将来は海外で活躍するチャンピオンになりたい。そして賞金でお父さんにプレゼントを買いたい」と夢を語る。海斗さんは少し照れくさそうに、息子を見つめた。(安富智希)