沖縄県森林資源研究センター(寺園隆一所長)はこのほど、県花デイゴに深刻な被害を与える害虫デイゴヒメコバチを防除するため、外来天敵のデイゴカタビロコバチの野外放飼試験を宮古島市の下地島で始めた。10月26日に放飼を開始し、22日と12月上旬~中旬にも放飼を予定している。経費は薬剤防除に比べて15分の1に抑えられる。
2005年に石垣島で害虫ヒメコバチが確認されて以来、デイゴへの被害が広がり、県はデイゴを保護する研究を進めてきた。県内でのカタビロコバチの天敵利用を検討した結果、有効性と在来種への影響が極めて小さいことが確認され、野外放飼を始めた。費用は薬剤防除が樹木1本で1万5千円に対して、天敵カタビロコバチは千円に抑えられる。定着すれば、維持経費もほとんど必要なく、19~20年ごろには効果が表れるとみられる。
防除試験では害虫ヒメコバチの被害を最大で80%抑えることに成功した。今後は害虫ヒメコバチと天敵カタビロコバチの発生状況の調査を続け、生物農薬としての申請も計画している。
寺園所長は「デイゴの鮮やかな紅色の花が毎年咲くことを期待している」と語った。