県アジア経済戦略課は22日、県庁で会見し、沖縄から中国上海への海産物輸出体制の構築を発表した。中国への輸出では福島第1原発事故以降、日本食品に課せられた厳しい規制が鮮度保持の難関となっているが、水産流通業の三高水産(糸満市、馬詰剛社長)や各機関との連携で放射能検査や各種証明書発行の即日実施など、迅速な通関手続きを実現した。全日空の沖縄貨物ハブを使ってキハダやメバチなど県産マグロの輸出を本格化させる。
午前5時に仕入れた鮮魚を日中に検査し、午後5時までに那覇空港へ搬入する。深夜に上海の浦東空港へ輸送し、翌日夕方までには中国の飲食店などに配達できる。
中国への食品輸出には放射能検査や産地証明書、衛生証明書の発行などが求められ、特に鮮度が求められる海産物の輸出は困難な状況だった。今回の体制では、産地証明書は水産庁の電子申請を活用し、同日中に沖縄総合事務局で原本を受け渡す。通常は1週間程度かかる衛生証明書は事前申請し、放射能検査も即日で行うなど関係機関が一体となって通関の迅速化に取り組んだ。
今年2月から5回の輸送テストを行い、今月21日には中国側からの注文に対して300キロ分のマグロを輸送した。三高水産は2018年度に輸出量20トン、販売額4千万円、19年度に50トン、1億円を目指している。県内で水揚げされたマグロのほか、ソデイカや養殖のヤイトハタなどの拡大も検討していく。
会見した馬詰社長は「単価を上げてもうかる漁業をサポートし、ブランド力を付けて沖縄の市場を強くしたい」と語った。県アジア経済戦略課の仲栄真均課長は「中国への鮮魚輸出の第一歩だ」とさらなる輸出拡大に期待した。県は、県内事業者の中国への鮮魚輸出の相談も受け付けている。問い合わせは(電話)098(866)2340。