野原さん優秀賞 がん告知、親子で語り合う 全国新聞コンクール


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これまでの親子関係について振り返る野原光さん(右)と母親の久美さん=22日、沖縄市の美東中学校

 家族や友人と新聞を読んで話し合った感想や意見を作品にする第8回「いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)の受賞作が23日までに決まり、全国4万7699点の応募から30点選ばれる優秀賞に、沖縄市立美東中学校3年の野原光(ひかる)さん(15)が選ばれた。奨励賞は助川美月さん(比屋根小6年)、造倉そらのさん(具志頭中3年)、鉢嶺洸樹さん(同)の3人が受賞した。学校奨励賞は名護市立小中一貫教育校緑風学園、沖縄市立比屋根小学校、八重瀬町立具志頭中学校が受賞した。

 野原光さんは8月24日付琉球新報に掲載された「親ががんにかかった場合、子どもにどう伝えるのか」という記事を選び、母親の久美さん(40)と話し合った。野原さん親子は光さんが3歳のころから2人きりの母子家庭。久美さんは保育士の仕事で忙しく、光さんが1人で過ごす時間は多かった。

 「もしもがんになったら私に教える?」と聞く光さんの問い掛けを、久美さんは最初、軽く受け流した。しかし、真剣な光さんの様子に考え込んだ。久美さんは祖母ががんになった時の経験を振り返り、周囲が病気を分かっていた方が良かったと思い直した。

 「よく考えると、お母さん、告知するかな」という母の言葉に光さんは「自分が大切にされている。お母さんの子でよかった」と思った。受賞作には、自分の体調よりも娘のことを思いやる母の様子に驚き、「お母さんが私のことを一番に考えていた。頼ってくれるくらい強くなろうと思った」とつづった。

 作品の最後には「親ががんになったら子どもは伝えてほしいと思うはず。家族で話し合いを持った方がいい」と記した。

 久美さんは「2人しかいないので、うれしいことだけでなく、悲しく苦しいことも全部話していかないといけない」と語る。光さんも母を「自分より大事な存在」と思いやる。光さんは将来「新しい命を見られる仕事」と助産師になることを望む。進路について親子で話し合う毎日を送っている。