沖縄黒糖、香港へ本格輸出 県協同組合と現地販売大手 アジア市場開拓へ連携


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黒糖輸出や販促の覚書を締結した沖縄県黒砂糖協同組合の西村憲理事長(左)とタイク-シュガーのマックス・ラウ社長=24日、沖縄総合事務局

 沖縄県黒砂糖協同組合(西村憲理事長)は24日、香港を拠点に砂糖製品の販売を手掛ける太古糖業(タイクーシュガー、香港)との間で、沖縄黒糖の香港への本格輸出や販売促進プロモーションに関する覚書を交わした。両者は本年度から5年間、黒糖を継続的に輸出してスーパーなどで販売するほか、香港を中心としたアジア地域で黒糖の認知度向上を進めるなど、連携して市場開拓に取り組む。

 輸出は、地域商社のアンドワン(那覇市)が仲介し、多良間島産のかち割り黒糖を香港向けに包装して出荷する。輸出量は年間約30トン、金額で1500万円を見込んでいる。

 タイクーシュガーは、航空や飲料メーカーなどを所有する大手財閥スワイヤーグループの一員で、香港や中国本土をはじめ東南アジアなどにも高級砂糖や紅茶、コーヒー、こしょうなどを販売している。

 内閣府沖縄総合事務局で開かれた覚書締結式に出席したマックス・ラウ社長は「沖縄の黒糖は品質が良く、広くアジア圏に提供できる。供給が安定するならばレストランや菓子の加工原料など業務用にも紹介したい」と語った。

 サトウキビの搾り汁を煮詰めてそのまま固めた沖縄黒糖は、風味が高く、ミネラル分が豊富なことから海外でも人気が高いという。台湾にも年間15トンを輸出しているものの、2016年度の黒糖生産量9645トンのほとんどは県内、国内消費が中心だ。

 黒糖を供給する県内8離島の生産規模が小さく、原料のキビ栽培も台風によって毎年の生産量にばらつきが出るなど、海外に安定的に供給する量の確保が難しい課題がある。

 西村理事長は「離島は気象の影響を受けやすいが、ここ数年の生産量は安定している。協力関係を基に、アジアの新規市場も開拓していきたい」と語った。

 沖縄総合事務局も、沖縄国際ハブクラスター事業や沖縄地域農林水産物等輸出促進協議会を通じて、沖縄黒糖の輸出強化を支援している。

 締結式に同席した能登靖局長は「キビの生産振興を図る上で、市場の拡大が見込める海外でのブランディングが必要になる。覚書は輸出促進の追い風になる」と期待した。