長生炭鉱 遺族からDNA 沖縄県出身者の遺骨収集、特定へ


社会
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手足の爪からDNAサンプルを採取した島袋貞治さんの次男・隆さん(左)と事故現場近年の写真を手にする「長生炭鉱の『水非常』を歴史に刻む会」の内岡貞雄共同代表=28日、那覇市の沖縄オリエンタルホテル

 1942年に山口県宇部市の長生炭鉱で発生した水没事故で、今も海底に残されたままの犠牲者183人の遺骨収集を目指す「長生炭鉱の『水非常』を歴史に刻む会」は28日、犠牲者の一人、名護市源河出身の島袋貞清さんの甥、貞治さん(84)からDNA検体として手足の爪を入院中の那覇市内の病院で採取した。県出身の犠牲者は貞清さんを含めて5人で、遺族からDNA検体を採取できたのは初めて。同会は今後、遺骨収集が実現した後にDNA鑑定し、身元特定につなげたい考えだ。採取した貞治さんの爪は、福岡県久留米市のNPO法人遺伝子情報解析センターへ郵送しDNAを抽出する。

 今回の検体採取は、同会の内岡貞雄共同代表(70)が県出身犠牲者の遺族を捜しているとの情報を貞治さんの次男の隆さん(45)=那覇市=が知ったことがきっかけ。隆さんは仏壇の位牌の名前などから貞清さんが親せき関係にあることを確認し、内岡さんへ連絡し、3等親以内の貞治さんの検体採取につながった。

 父の検体採取に協力した隆さんは、長生炭鉱の事故で親せきが犠牲になったことを初めて知ったとし、「知って良かった。他にもどこでどう亡くなったのか分からない人がたくさんいる。(どう亡くなったのか)確認できる人が増えるといい」と語った。