Ryukyufrogs9期生レポート 「今を壊せ。〜Create The Future~ 」
社会課題を解決するノウハウと技術、起業家精神を身に付けた「ハイブリッド人財」の育成をするプロジェクト「Ryukyufrogs」。選抜学生は約半年間、課題解決に向けての考え方や英語を学び、シリコンバレー研修などを通して自身のサービス案を構築します。
ことしのメンバー9期生はシリコンバレーで何を感じてきたのか、社会にどんなイノベーションを起こそうとしているのか、そしてどんな自分に成長していきたいと描いているのか。12月17日、成果発表会「LEAP DAY(リープデー)」の舞台に立つ7人の思いをご紹介します。
劣等感、不安…
深掘りして感触を得た“己の深み”
異文化×Tech
辺土名律
(沖縄大学2年)
―Ryukyufrogsの研修も残りわずかです。今、Ryukyufrogsに参加している時の自分は、どんな気持ちですか?
辺土名
複雑な気持ちです。Ryukyufrogsに選ばれて、周りからは「すごいね」って言われます。しかし、他のメンバーを見ると、どうしても自分が劣っているようにも見えます。
ただ、サービスを考えること、社会課題と向き合い自身の考えを主張することは、非常に楽しいです。
―Ryukyufrogsに参加しようと思った理由やきっかけを教えてください。
辺土名
本当に偶然だったと思います。
海外でフリーハグ(道行く人に抱擁で交流や平和的な関係を求めるチャレンジ)や、自転車で沖縄一周をし、大学生のコミュニティーでも名前が知られ始めた頃、次に何をしようか考えていました。
学校を歩いていたら、掲示板に貼ってあったポスターに「やるかやらないか人生はシンプルにその2つだ」という文字がありました。それがRyukyufrogsのチラシでした。あの時の私は、「やるしかないだろ!」とすぐに申し込みました。
―シリコンバレー研修などを通して会った人の中で、誰の生き方や話に刺激を受けましたか? どのように感じたのか教えてください。
辺土名
Women's Startup Lab の堀江愛利さんのお話が心に残っています。
日常の中で「明日死ぬかもしれないから本気でやれ」というような言葉を言われてきましたが、どうしてもしっくりきませんでした。
しかし、堀江さんは「いつか死ぬから、これだけは頑張ってみよう」と今やっていることを、まずやりきることの大切さ、今やることの意味を感じさせてくれる話をしていただきました。
また、自身の幸せをいろいろなところに分散しておいて、もし1つがつぶれても、「他の幸せがあるから」と割り切って次に進んでいったり、失敗を恐れない姿が印象的です。
私もこの考えを身につけて、生きていきたいと思いました。
―研修を進める中、Ryukyufrogsに参加する自身の変化をどう感じていますか?
辺土名
論理的思考や、物事の本質を見ようとする姿勢が身についたと思います。
もともと、何に対しても深く考えることは無かったのですが、Ryukyufrogsの活動を通して、ひたすら深掘りをして、社会や自分と向き合ってきました。
まだ他の人と比べると劣るかもしれませんが、自身の中で一番変わったのは、そこなのかなと感じています。
以前よりも、今の方が社会にも自分にも関心を持って生きている気がして、非常に楽しいです。
―これから、どんな自分になりたいですか?
辺土名
まず、自分が人生を懸けてやりたいことを見つけたいです。
人を幸せにするにも、まずは自らが幸せでありたいです。
Ryukyufrogsに参加し、自身と向き合う中で本当にやりたいことが分からなくなりました。しかし、分からなくなったからこそ、自分と向き合えている感覚があり、充実した感触もあります。
今取り組んでいるサービスを生み出す中で、カラーセラピストの資格も取りました。近い将来だと、この資格を利用して、自分の周りの人を少しでも心を楽にすることのできる人材になりたいです。
―LEAP DAYでは「異文化×Tech」のサービス案を披露します。今、開発中のサービスは社会にどんなイノベーションを起こしますか? そしてそのサービスに対する思いを教えてください。
辺土名
多国間、異文化間のコミュニケーションを増やすというゴールを設定していますが、まずは身近な人と人とのコミュニケーションにイノベーションを起こそうという発想でサービスを創っています。
そこで着目したのが親子です。人として成長する子どもという過程にアプローチしようと思いました。
従来の親子アプリは、アプリの使用時にコミュニケーションが生まれますが、私たちはアプリ外でのコミュニケーションを増やそうというイノベーションを図ります。子どもの頃の自己肯定感を高めることで、将来幸せと思える人が増えるのではないかと思っています。
これには私自身の経験も関わります。長男として生まれ、子どもの頃抱いた親への不安も振り返り、これからの社会で多くの子どもたちに同じ思いをさせないように、幸せになってもらえるようにこのサービスを世に出したい。多くの人が自身に自信を持ちながら、他者と関わり、比較せずに話し合いのできる社会を創りたいと思っています。
プロフィル
趣味
カラーセラピー
今興味のあること
心理学、カウンセリング
将来の夢・目標
まずは自身が幸せになり、自身の周りの人への幸せを拡散していきたい
堀江愛利さんがRyukyufrogs9期生に説いた起業家精神
堀江愛利さんは、シリコンバレーを拠点にして、女性の起業を支援するアクセレータ―(短期養成所)「Women’s Startup Lab」を立ち上げ、運営しています。明確なビジョンを持って活動する人が選出されるCNN「10人のビジョナリーウーマン」に選ばれ、「Startup Sister」として紹介されています。
堀江さんとRyukyufrogs9期生のセッションでは「起業」や「起業家の生き方」についての意見交換や、男女の性差でステレオタイプを押しつけることの違和感をワークショップで体感しました。
堀江さん
Ryukyufrogsのみなさんが学ぶ起業家精神。その起業家精神に今、何が足りないと自分自身で思う?
リスクを取らないのはなぜ? 失敗するのが怖いと思っているからだよね。
じゃあ、失敗するのが怖いと思った時はどうしている?
Ryukyu
frogs
9期生
何もやらない。関係ないふり。
堀江さん
そう。失敗するのが怖くて何もしないと、何もしていないのに、考えているだけで疲れる。そして何もしていないのに、考えているだけで頑張った気になる。
それって40年、50年続けられる?
Ryukyu
frogs
9期生
続けられない。
堀江さん
でも、今の日本にはそういう人がいっぱいいるよ。
失敗したらどうなるの? 失敗することで、何が起こるか細かいところまで書いてみないと。「失敗する」っていうイメージだけを持って、決めている人が多い。行動しないまま80歳になった時の後悔と、40歳の時にリスクを取って行動するのと、どっちがいいのかよく考えた方がいい。
アントレプレナー(起業家)の一番、大切なことは自分の中で絶対消えない炎を持つこと。ワクワクの気持ちを持つこと。
その上で行動する時は、自分だけでできないこともたくさんある。だから、できること、できないことを判断する。
回りとうまくやることは大切。うまくやりながら、自分のことを自分でコントロールできるようにならないといけない。
みなさんに伝えたいのは、誰と仕事をしたいか、どういう人間になりたいかは選ぶべきだと思う。
日本には「迷惑を掛けない」とか「けじめ」というすごくきれいな言葉があるけど、それに集中しすぎて、他の文化に厳しい。生きながら死んでいる人がたくさんいる。
人生の中で、「やめる」ということは、選択としてあっていい。そして幸せはいろいろなものに分けておいて「自分にはこれをやめても、他の大事なものがあるから大丈夫」という状態をつくっておくことも大切。常に心が生きている状態にするように。
私は、どうして仕事をするかって、それは楽しいから。
ここで、女性が活躍できる社会を創りたくて、Woman's Start UP Labを立ち上げて、この仕事をしている。
~ Ryukyufrogs LEAP DAY 2017 ~
「今を壊せ。Create the Future 」
◇開催日:2017年12月17日(日)
◇時間:午前10時半~午後6時(午前10時オープン)
◇場所:さわふじ未来ホール(沖縄県西原町字与那城140-1)
◇参加費用:学生は無料、ほか前売料金:¥2,000、当日料金:¥3,000(Peatixより、前売り購入ができます)
◇詳しい情報や事前申し込みは、Ryukyufrogs のLEAP DAY 2017特設サイトから