名護市長選まで2ヵ月、辺野古再び争点 現職・新人の一騎打ちへ 公明の動向焦点


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 2018年2月4日投開票の沖縄県名護市長選まで、4日であと2カ月となった。現職の稲嶺進氏(72)と、市議の渡具知武豊氏(56)=自民推薦=が立候補を表明しており、一騎打ちの構図となる見通しだ。両陣営とも選挙運動の拠点となる事務所を市内に設置し、活動を本格化させている。

 米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設問題が最大の争点となる。政府は11月に大型輸送船で石材の海上搬送を始めるなど新基地建設を強行している。工事が本格化する中で、改めて新基地建設の是非が問われる。

 市政刷新を目指す渡具知氏は11月14日、自民党県連幹部らと首相官邸や自民党本部を訪れた。菅義偉官房長官らと面談し、官邸の全面支援を取り付けた。

 選挙戦の鍵を握る公明党との連携はまだ見通せない。自公連携で臨んだ10月の衆院選では、公明党の名護市での比例得票数は過去最多の5789票だった。自民県連関係者は「自民が公明に入れたということだ」と強調し「公明の推薦は出る」と自信を見せる。

 公明関係者は「年内には結論を出そうと話している」とした上で、「衆院選のように争点が複数あればいいが市長選は辺野古だ。ごまかしは利かない」と話すなど慎重な姿勢を崩さない。渡具知氏はこれまで市議として辺野古移設容認を掲げてきたが、出馬に当たり「賛成でも反対でもない」と是非を明確に示していない。県外・国外移設を求める公明県本が、渡具知氏の姿勢をどう判断するかが焦点になる。

 3期目を目指す現職の稲嶺氏は11月6日に選挙事務所を開いた。「辺野古の海にも陸にも新基地は造らせない」として、移設阻止を堅持する。事務所開きには翁長雄志知事も駆け付け「基地は沖縄経済の最大の阻害要因だ」と訴えた。

 稲嶺氏は翁長知事を支えるオール沖縄会議から全面支援を受ける。選挙事務所を拠点に地域支部を12~13カ所設置し、地域住民への浸透を図る。共産党県委や県統一連も独自の事務所を市内に設置した。

 10月の衆院選で名護市を含む沖縄3区はオール沖縄勢の玉城デニー氏が自民の比嘉奈津美氏に圧勝した。支援者の一人は「移設反対の民意は根強い」とし、早くも優勢との見方を示す。だが、直近の首長選挙でオール沖縄勢は3連敗、衆院選でも4区は自民候補が勝った。市政与党市議は「油断すると、どう転ぶか分からない。陣営内に緩みが出ないよう気を引き締めないと危ない」と話した。