伊平屋村、2500万返還へ 漁協不正受給 一時立て替え


この記事を書いた人 大森 茂夫
伊平屋村が県に提出した2014年度漁業再生支援事業補助金実績報告書。報告書には「事業実施した」と明記されパヤオ(浮魚礁)の制作・設置で約193万円が計上されているが、実際は設置されていなかった

 【伊平屋】沖縄県の伊平屋村漁業協同組合が虚偽報告をして、2012年度から16年度まで離島漁業再生支援交付金を不正に受け取っていた問題で、伊平屋村が国と県に補助金約2500万円を自主返還する方針を固めた。村が一時立て替えをして、10年かけて漁協に全額返還させる考え。補正予算を組み返還するかについて、本年度中の村議会に諮る。伊礼幸雄村長が4日、明らかにした。

 交付金は国が50%、県と村が25%ずつ負担しており、12年度から16年度に受けた交付金約3500万円の75%に当たる約2500万円を全額返還する。

 伊平屋村漁協の不正受給問題が発覚したのは15年8月。12~16年度までに交付された約3500万円のうち、少なくとも680万円が目的外使用や使途不明金となっている。伊平屋村漁協は06年度から交付金を受けていたが、11年度以前は書類が保管されておらず、目的外使用の有無は調査されていない。

 伊平屋村漁協の諸見富男前組合長は本紙の取材に、領収書を偽造して村に提出したことを認めている。村は漁協が虚偽報告をして補助金を不正受給したことを重く見て、適正支出も含めて5年間の交付金全額を自主返還することにした。

 補助金適正化法によると、返還命令を受けた場合、交付を受けた日にさかのぼり、1年当たり交付額の10・95%の加算金を支払う必要がある。伊礼村長は「返還命令が出たら他の事業にも大きな影響が出る」として自主返還を決めた。伊礼村長は「村は何度も漁協に指摘してきた。漁協に責任があるので、漁協の再生計画にのっとって長期スパンで返還してもらう。村民の税金で返納することはあり得ない」と答えた。

 伊平屋村漁協の新垣雅士組合長は「村から報告を受けていないので、最終的な報告を受けてから対応したい」と話した。