子どもの貧困率が29・9%と全国平均を大きく上回る沖縄県で、官民それぞれの取り組みを紹介した書籍「沖縄子どもの貧困白書」が10月に発行された。出版を記念し、子どもたちの現状を考えるシンポジウムが10日、那覇市の沖縄大学で開かれ、執筆者らが「子どもたちの権利は、大人が守らなくてはいけない」と訴えた。
約130人が参加し、パネルディスカッションには執筆者ら6人が登壇した。那覇市の委託を受けて不登校など孤立した子どもたちが集う「kukulu(ククル)」を運営する金城隆一代表理事は、大人は出しゃばらず、子どもたちの力を引き出すべきだと強調した。
南風原町こども課の前城充課長は、子どもたちの居場所を365日提供する「子ども元気ROOM」の取り組みを紹介。通う子たちの歯がぼろぼろだったことから、県内で初めて子どもの医療費の窓口無料化を実現させたと述べた。
「子どもの貧困白書」は、沖縄大学元学長の加藤彰彦さんや、琉球大学の上間陽子教授らが編集委員となっており、税抜き2700円。